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フランスで体感した世界トップに勝つための基準。U-17日本代表は強度や一瞬のスピードを突き詰めてU-17W杯へ

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U-17日本代表CB永野修都(FC東京U-18)は30日午後の練習から完全合流。強度、スピードを求めてプレーした

 世界トップクラスに勝つための基準を身につけてU-17ワールドカップに挑む。U-17日本代表は、30日にU-17ワールドカップインドネシア2023(11月10日開幕)直前のトレーニングを千葉県市原市内でスタート。午前午後にトレーニングを行い、午後はボールワーク、クロスからの攻防、ゴール前での6対5、そして最後は12分間のゲームで締めた。

 U-17アジアカップ優勝メンバーのCB永野修都(FC東京U-18)は「今回ワールドカップということで選手もスタッフ陣も気合入っているし、この大会に向けて準備してきたのは、みんな大きなものがあると思う」と語る。
 
 練習では、FW徳田誉(鹿島ユース)が迫力のあるヘッドを撃ち込み、MF中島洋太朗(広島ユース)らが攻撃をスピードアップさせるパス。また、右SB松本遥翔(鹿島ユース)が力強い対人守備や攻め上がりを見せていた。

 セットプレーの守りで甘さがあれば、森山佳郎監督から厳しい声。選手たちはゴール前で最後の半歩戻る、寄せるところまで求めてプレーしていた。また、声を掛け合いながらコンビネーションを構築。ゲームではスピーディーなパスを繋ぎ合う一方、互いに集中してゴール前で決定打を撃たせなかった。

 U-17日本代表は今年6、7月のU-17アジアカップで連覇。宿敵・韓国との決勝を3-0で制すなど強さを示したが、9月のフランス遠征ではポルトガル、イングランド、フランスというFIFAランキングトップ10の強豪国と対戦し、1勝2敗に終わった。特に0-2で敗れたフランス戦でチームはフィジカルレベル、技術レベル、判断レベルの全てを上げていかなければならないことを痛感。世界で勝つための基準を学び、それに追いつくことを目指してきた。

「ヨーロッパの1位、2位を争うチームに対しての身体のぶつかり合いの強度やフィジカル面や日本人の特長である一瞬のスピードをもっと突き詰めていくのは、もっとやっていかないといけない。それぞれがチームに戻った後も代表から発信があって、求められているものが明確でそれぞれが課題に向かって練習をしている」(永野)

 チームが目指す世界のファイナリストになるため、各選手がフランス遠征でのデータややるべき準備を共有。アジアでの戦いとは異なる基準を身に着けようとしてきた。永野は「アジアと世界ではまた一つレベルが上がるというのは分かっているところであるし、ワールドカップで勝つということはそんなに簡単じゃないと言われているので、そこに対する準備は引き締めてやっている」。31日には4歳年上もいる関東大学選抜と練習試合。個人、チームで準備してきたことが一つ試されるゲームになる。

 守備能力の高さに加え、ゴールを奪う力も持つ永野はフランス遠征でU-17ワールドカップ出場が危ぶまれる怪我。だが、懸命のリハビリで復帰し、前日29日にFC東京U-18の練習試合で実戦復帰して合流した。「この大会に来たからには個人的にも結果を残したいと凄く思っている。(まだまだ強度が不足しているが、)大学の選抜という凄く良いチームと戦うことができるので、まずは全力で戦って、少しでも調子を上げられるようにしたい」。守りの要は焦りすぎることなく、感覚を取り戻して大会でベストパフォーマンスができるように持っていく考えだ。

 永野にとって、U-17ワールドカップはとても楽しみにしてきた大会だ。「世界の自分たちの世代の凄い選手たちが集まっている大会で戦えるというのは、自分も凄く楽しみにしている。今まで経験したことのないような相手とできると思うので、そういう相手にも対応できるように楽しみながらやりたい。世界の舞台は数をこなすだけ自分の成長にもつながると思うので、少しでも多く貴重な経験を体験できるように、チームとして頑張っていきたい」。強度や一瞬のスピードを突き詰め、世界で結果と成長の両方を手にする。

(取材・文 吉田太郎)
●U-17ワールドカップ2023特集ページ
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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