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フル稼働のAZを離れてアジア杯に臨むDF菅原由勢「優勝以外は何をしに来たんだということになる」

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日本代表DF菅原由勢(AZ)

 日本代表DF菅原由勢(AZ)が7日、カタール・ドーハでの練習後に報道陣の取材に応じ、開幕を目前に控えたアジアカップに向けて意気込みを語った。21年夏の東京五輪、昨年末のカタールW杯でメンバーから落選した菅原にとって、19年のU-20W杯以来となる公式国際大会。それでも「昔から大会があれば優勝以外を目指して戦うことはなかったし、優勝以外は考えていない」と述べ、平常心で挑んでいく構えだ。

 昨年3月の第2次森保ジャパン発足を機に台頭し、一気に右サイドバックの主力に定着した菅原。17年のU-17W杯、19年のU-20W杯とアンダー世代の国際舞台は豊富に経験している一方、それ以上のカテゴリでは今回が初めての国際大会参加となるが、欧州トップレベルの舞台を数多く踏んできた23歳に気負いはなさそうだ。

「代表であろうが、クラブであろうが、勝負にこだわる意味では一つの負けも許されない。リーグ戦であってもそれは変わらない。代表では国民の皆さんの期待もあるけど、選手がどれだけ勝つためにいろんなことを犠牲にできるか、勝利のために何ができるかを考える必要がある。今はみんなが自信を持ってやっているし、しっかりと積み重ねて、それを表現できるようにするのが一番大事だと思う」

 そんな菅原は『CIES Football Observatory』の調査によれば、昨年1月から12月上旬までの間にクラブ・代表の公式戦合計56試合に出場。プレータイムは4928分間を記録していた。これは欧州でも12番目に多い数字だった。菅原によると、こうした働きぶりはプロ入り6年間で積み重ねてきた経験と取り組みの賜物だという。

「まずは両親がこういう丈夫な体に生んでくれたことを感謝したいし、その上で自分がいる環境で何をしないといけないかを整理してやってきた。栄養だったり、睡眠だったり、休息だったりと自分のクラブから言われることもあるけど、自分の身体は自分が一番知っているし、もうプロになって6年目にもなるので、どういう状態で試合を迎えないといけないか、試合後の反応がどうかは大体わかっている。無理をしないように、自分の身体と相談しながらやっている」

 またその稼働率は、所属先のAZが菅原に寄せてきた信頼の表れでもある。今回のアジア杯参戦はそうしたクラブの活動を一時離れることで成立しているが、それだけの覚悟を持って臨んでいくつもりだ。

「クラブあっての代表だと思うし、クラブがしっかり理解を示した上で、アジア杯への派遣という形で応えてくれている。ここまで来られたのもAZがしっかり育ててくれたからだし、それはしっかり僕がわかっていないといけない」

 アジア杯タイトルに向けても「リーグ戦がある中でこうやって代表に集まっているわけなので、優勝以外は何をしに来たんだということになると思う」と決意を示した菅原。「もしこの期間でポジションを奪われることだってもちろんあるし、冬の移籍期間で選手を取ってまた新しい競争が始まる中、ナショナルチームに呼ばれて、リスクを背負って代表に来ているわけなので、ここに来た意味をしっかりおのおのが考えて、ピッチで結果を示すだけかなと思う」。負けられない理由を胸にアジアタイトル奪還に挑む。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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