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ベンチでぼう然と敗退迎えた久保建英「いまの僕の限界かなと」「切り替えるしかない」

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MF久保建英(ソシエダ)

[2.3 アジア杯準々決勝 日本 1-2 イラン エデュケーション]

 悲劇的な幕切れはベンチ前でぼう然と見つめた。「悪い流れになってきていたけど、あそこまで悪くなるとは思っていなかった。なんとか延長に行きたいなという感じだったけど、最後にPKでやられてしまった。もったいなかったけどしょうがない」 。日本代表MF久保建英(ソシエダ)の初のアジアカップはベスト8という結果に終わった。

 左太ももの負傷でチーム練習合流が遅れたが、終わってみれば全5試合に出場。ベンチスタートはグループリーグ初戦のベトナム戦のみで、第2戦イラク戦からはトップ下のポジションを託され続けた。ラウンド16のバーレーン戦では待望の初ゴールも記録し、「ベスト16よりベスト8、ベスト8よりもベスト4と大会の注目度が増していくにつれて僕の活躍も増していけばいい」と意気込んだ。しかし、その野望は次の一戦で絶たれた。

 FIFAランキングで日本に次ぐアジア2位のイランに対し、先制点を奪った日本代表。前半は久保が左に流れてビルドアップに絡み、相手の激しいプレッシングの中でも巧みに攻撃を前進させていた。だが、次第に相手のロングボールに押され気味になっていく中、スイッチを入れるパスを入れられる機会が減少。ボールが空中を行き交う時間帯が増え、良さを出しにくい試合展開となっていった。

「前半はやっていて負ける気はしなかったけど、後半に入って相手に2、3回ロングスローを作られて、嫌な流れだなと思ったら、相手もそれに味をしめて、とりあえず蹴って拾ってで、タッチラインを割ってもロングスローがあるよってことで押し込まれて嫌な展開になった。もうちょっとボール保持する時間が長くなればよかったかなと思うけど、相手のやりたいことがうまくハマったと思う」(久保)

 後半の立ち上がりには攻勢の時間もあったが、久保のピンポイントクロスからFW上田綺世のダイビングヘッドが枠を外れると、直後の決定機では自身の右足シュートが枠外へ。「本当に思った通りで全てがうまくいったけど、シュートは右足の精度のところが足りなかった」。そう振り返った久保は「相手はたぶんつなげないってことで割り切って、蹴ってきてなんとかという展開だったけど、その前に僕らは試合を決め切るチャンスがあった。攻撃陣は特に反省したい」と良い時間帯を活かせなかった責任を背負った。

 攻撃のイメージは相手のフィジカルに押される展開の中、意思統一ができなかった。「前半は守田(英正)選手がサイドに流れるだけで相手が捕まえ切れていなかったので、後半もその形を継続できればよかったけど、相手のロングボールの対応でこっちも精一杯だったので、そこも相手のやりたいことをやられたと思う」。自身の良さを出せない展開に「上田選手が前線にいたのもあるけど、全部が勝てるわけではないので、悪くなってきた時でも自分たちがやりたいことを貫き通せばよかった」と悔いが残った。

 そうして後半23分に途中交代。「(試合出場が続いて)だんだんコンディションが上がってくる中で、今大会たぶんベストなゲームだったと思うので個人的には(交代は)早かったかなと思うけど、そこは一選手がどうこう言ってもしょうがない」(久保)。そこではMF三笘薫、MF南野拓実が入り、強度を維持しつつ推進力を出すという狙いがあったとみられるが、相手を引きつけられる久保の不在は三笘の良さを活かすという面でも響いた。

 大会全体のパフォーマンスを振り返った久保は「もっとやれたかなと思う。苦しい時間帯にもっともっと点に絡みたかった。大会を通して、いまの僕の限界かなと思う」と総括。“限界”という言葉の裏は「自分にできることはやった」という割り切りもあるという一方、ベスト8での敗退という結果に「数字も欲しかったし、チームを勝たせるプレーもしたかった」と落胆をにじませた。

 日本を背負って戦う日々はいったん終了。「ここからまた(W杯)予選も続いていくし、切り替えるしかない。チームに帰って重要な試合が続くので、代表のことはいったん忘れようかなと思っています。まずは今日も試合があるのでチェックして。僕は次の試合でメンバーに入ると思うので」。すぐにスペインに戻り、ラ・リーガとカップ戦の連戦が続くソシエダでのプレーに集中していく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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