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逆転での五輪代表入りへ、初招集MF高木「最初から全開で」

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「時間がないんで、最初から全開で行かないといけないと感じています」。トゥーロン国際大会(フランス)でU-23日本代表に初招集されたMF高木善朗(ユトレヒト)が合宿初日からフルスロットルでの生き残り宣言だ。

 FW大津祐樹(ボルシアMG)らと行ったPAでの2対2では、早速攻撃力を発揮。ファーストプレーでいきなり左足シュートをねじ込むと、続けざまに右足シュートをゴール右隅へ流し込んでアピールした。「久しぶりに日本語の中でやっていて、ついついオランダ語でボールを呼ぼうとしてしまっていた。ちょっと出そうになりました」と苦笑いしていた高木だが、動き出しの速さとキレ、またその後のPK練習では5本連続で成功するなど初日から十分な存在感を示していた。

 ロンドン五輪開幕まで2か月強で迎えた今回、オランダでの活躍が認められて初招集されたが、予選に1試合も出場していない高木はメンバー争いでは間違いなく後方からのスタートとなる。もちろん、18人枠に残るためにはかなりのアピールが必要となることも理解している。だからこそ初日からの全開宣言。同時に19歳MFは年上の選手たちとのコンビネーションを構築することの必要性を感じている。「ボクの良さはコンビネーションを高めてからでないと出ないと思うので、少ない日数の中でコンビネーションを高めて、(自分のプレーが)伝われば残ることができると思う」。今回の遠征ではチームのムードメーカー的存在であるDF比嘉祐介(横浜FM)と同部屋。急ピッチでチームに溶け込み、自身のプレー、考えを周囲に理解してもらうつもりだ。

 昨夏に移籍したオランダではなかなか出場機会が得られず、公式戦では12月まで出場なし。だが、「ボク自身の良さを分かってもらうためには時間がかかると思っていたので焦りはなかった」というMFは12月4日のトゥエンテ戦で初出場すると、シーズン終了まで15試合に出場して6アシスト。最終節のローダ戦では初ゴールも記録した。

 試合に出られない時期から始まったオランダではメンタルコントロールを学び、筋力、判断力の速さを徹底して学んできた。そして出場機会を増やす中で、その成長の速度を速めてきた。判断力の速さとそれを具現化する技術の高さは大きな武器。09年U-17W杯で世界と戦った経験も持つ。これらの武器を持って「凄いシビア」な18枠入りへの争いを勝ちぬくだけだ。「(オランダでは)試合に出れないところから始まって徐々にステップアップできてきて、やっとこの代表にも選ばれた。ちょっとずつ階段を上っているので立ち止まらないようにしたいです」。攻撃的MFのポジションはMF清武弘嗣(C大阪)ら激戦区。ただ高木はこの競争を制して、成長の階段も上り続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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