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U-23代表が国内で調整、ドイツから帰国したばかりの酒井高も合流

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 トゥーロン国際大会(23日~6月1日)に出場するU-23日本代表が20日、千葉県内に集合し、約1時間、軽めの調整を行った。この日、JリーグのあったMF水沼宏太(鳥栖)、DF大岩一貴(千葉)、現地で合流するMF宇佐美貴史(バイエルン)、FW指宿洋史(セビージャ・アトレティコ)を除く16人が集合。前日19日のG大阪戦で左足首を負傷し、途中交代したFW齋藤学(横浜FM)は大事を取って宿舎で調整した。水沼、大岩の2人は試合後、チームに合流。18選手で同日深夜の航空機でフランスに向けて出発する。

「相変わらず同世代の選手が集まると、にぎやかで楽しいです」。昨年11月27日の五輪アジア最終予選・シリア戦以来、約半年ぶりの代表復帰となったDF酒井高徳(シュツットガルト)は笑顔を見せた。前日19日にドイツから帰国したばかり。「いろいろ荷物もあって、家族にも顔を会わせたかったし、ハードになるけど、一度帰ることにした」と、帰国翌日に再び渡欧する強行日程だが、表情には疲れも見せず、汗を流していた。

 今年1月に移籍したシュツットガルトでは2月11日のヘルタ戦でブンデスリーガ初先発を飾り、一気に先発に定着。左右の両SBをこなし、最終節まで14試合連続でフル出場し、計4アシストを記録した。

 いきなりのレギュラー定着は酒井自身、驚きもあったという。「正直なところ、最初は試合に絡もうとは思ってなかった。チームに慣れてから、徐々に自分のいいところを出していければと考えていた」と率直な胸の内を明かす。ところが、主力選手の出場停止や負傷でチャンスが訪れ、最初は左SB、その後は右SBで高いパフォーマンスを発揮。完全にポジションを勝ち取った。

「チームメイトのレッドカードでチャンスが来たのは想定外だったけど、(移籍直後にベンチ入りメンバーから外れて)チームに残っていたときもフィジカルをやったり、いざ本番が来てもいいように準備はしていた」

 デビュー間もないころはブンデスリーガのプレースピードやプレッシャーの速さに戸惑いも感じた。それでも「徐々にスピードに慣れて、目の前の相手をかわしたり、どう守備をしようかとか、余裕を持ってできるようになったのが、いいプレーができた要因だと思う」と、すぐに順応した。

「自分のストロングポイントはドイツでも発揮できた。攻撃のところで自分の長所をいかに出せるかが生き残るポイント」。ドイツでの実績を見れば、U-23代表にとっても大きな戦力になるのは間違いないが、今はまだアピールする立場にいるというのも実情だ。五輪代表には半年間のブランクがあるうえ、新潟在籍時も決して絶対的なレギュラーというわけではなかった。

「向こうで活躍できたのはよかったけど、こっちでもアピールしないといけない」と危機感ものぞかせる酒井は「右も左もできるので、そこは監督に任せます。左は最近やっていないけど、だからと言って、不安はない」と言い切る。ドイツメディアからは、国籍変更によるドイツ代表入りも期待されるほど高い評価を得た酒井。不完全燃焼な試合が続いてきた五輪代表で今度こそ爆発し、トゥーロンからロンドンへの道を切り開く。

(取材・文 西山紘平)

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