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3失点の川崎F MF中村「もう少しリスク管理をしないと」

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 チームは、加速するはずだった。後半27分、川崎フロンターレはチームの心臓であるMF中村憲剛が、右サイドからFW楠神順平が上げたクロスをヘッドでゴールに叩き込み、2-2と試合を振り出しに戻した。点を取り合う展開に、ホームの等々力陸上競技場の雰囲気は最高潮に達していた。しかし、その後が続かない。同点弾からわずか4分後、ガンバ大阪のMF家長昭博にこの日2点目となるゴールを決められると、2-3で敗れた。

 同点ゴールを挙げた中村は「悪過ぎた」と吐き捨て、決勝点を入れられた時間帯を悔やんだ。「追い付いて、追い抜こうというときに、また追いかけないといけなくなると、結構パワーがいるからね。チャンスをモノにしないとこういう試合になるし、決められないんだったら、チャンスの数を増やすしかない。追い付いたからこそ、嵩にかかっていくんだけど、そのリスク管理をもう少ししないといけない」と、唇を噛んだ。

 珍しいヘディングでのゴールについて「クス(楠神)のボールがすごく良かったんで、間をズラしたボールだったので、コースを見る余裕もあった」と振り返ったが、すぐに「あの勢いで逆転をしたかった。チャンスはあったので」と悔しがった。

 日本代表の一員として欧州遠征に参加した中村は、12日のフランス戦(1-0)、16日のブラジル戦(0-4)でスタメン出場していた。タイトな日程の中での試合になったが、日本代表のトップ下を務めた男は「疲れを感じるくらいだったら出ないし、試合に出る以上は関係ない」と強調し、「むしろ、こういう時だからこそやらないといけない。それが勝ちに結びつかなかったのが残念です」と口にした。

 前半は攻守に渡り、チームが機能していなかった。「ちょっと全体的に運動量が少なくて、ボールを見ている選手が多かった。『もっとボールに絡もう』という話をハーフタイムにしたら、後半は攻撃に厚みが出てきた。守備も1失点目も人数がそろっているなら、ボールに行くべきだし、PA内にあんなに簡単に入られると難しくなる。前半は攻守に足りなかった」と、中村も認める。

 試合の入り方、同点に追い付かれてからの試合運びに課題を残した川崎Fは、5試合を残して12位となり、ACL出場権の獲得も難しい状況になった。だが、立ち止まっているわけにはいかないと中村は言う。「ここで下を向いてもしょうがないので。あと5試合、次は神戸ですが、アウェーで勝ち点3を取れるように、また1週間調整したいと思います」と、気持ちを切り替えた。

(取材・文 河合拓)

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