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千葉DF山口、古巣との対戦に「望んでいた舞台ではないが、純粋にうれしかった」

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[3.24 J2第5節 G大阪1-1千葉 万博]

 1-1で迎えた後半ロスタイム。目安の3分も過ぎ、ラストワンプレーとなったジェフユナイテッド千葉のセットプレーのチャンス。右サイドで得たFKをMF兵働昭弘が蹴ると、猛然と飛び込んだDF山口智が頭で合わせる。しかしGK藤ヶ谷陽介の手を弾いたシュートはクロスバーに嫌われ、劇的決勝ゴールとはならなかった。

「あれは残念ですけど、ナイスキーパーですね」。山口が苦笑いで振り返るプレー。藤ヶ谷も「相変わらず智さんは強いですね」と話すと、「体が次反応して運よく触れた」としてやったりの表情で振り返った。

 山口にとっては特別な一戦にもなった。2001年に市原(現・千葉)からG大阪に移籍。10-11年シーズンまで在籍し、リーグ優勝やアジア制覇を果たすなど、黄金期を中心となって支えた。「純粋に対戦できたのはうれしかった。特別な思いは正直あった。リスペクトしているチームだし、勝ちたかったですが、試合は楽しめました」と素直な気持ちを明かした。

 G大阪の“弱点”もことごとく突いた。象徴的なプレーだったのが前半34分の場面。山口はDF藤春廣輝の裏のスペースを目がけてロングパスを出す。走り込んだDF高橋峻希が受けると、得点にはつながらなかったが、決定機を演出した。攻撃的なプレーを得意とし、高い位置を保ちながらプレーする左SB藤春の弱点を突いたプレーだが、「正直狙っていました」とニヤリ。「プレースタイルを知っているし、そこは(高橋)峻希も意識を持っているところだった」と狙い通りのプレーに笑顔を見せた。

 チームはこれで1勝3分1敗。3試合連続引き分けに終わるなど波に乗り切れないが、守備陣は5試合で3失点と好調なスタートを切っている。「出来は悪くはない」と語った山口。「ただDFにパワーを使っている分、攻撃に行ったときに質が落ちている部分がある。もう少し頑張って後ろが押し上げてというのは考えている」と攻撃面での奮起を期待した。

 G大阪との対戦を「望んでいた舞台ではない」という山口の言葉からは、来年はJ1で対戦したいという切なる思いが伝わってきた。

(取材・文 児玉幸洋)

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