[3.23 J1第4節 F東京0-4川崎F 味スタ]

　先制点を決めた直後、川崎フロンターレの背番号11が吠えた。前半31分、FW大久保嘉人が相手のパスミスをカットした瞬間、FW小林悠はゴールに向かって走り始めた。大久保の左側を駆け上がると、抜群のタイミングでスルーパスを呼び込んで相手DFを置き去りにする。先制のチャンスとなったが小林は状況を考え、落ち着いて判断を下していた。

「ワンステップ打つ振りをして、そこで1回シュートを打とうか迷いました。ただパスをしたり、切り返してボールを奪われたら気持ち良くないですよね。ピッチが濡れていてスリッピーだったので、しっかりとコースに転がすことを意識しました」とシュート直前の心境を振り返った。そして、左足から繰り出されたボールがネットに突き刺さると、歓喜の雄叫びを上げる。「クラシコでの得点というのもありましたが、どうしても勝ちたかった。勝ちたい試合で先制点を取れたのがうれしくて、感情が出たのかなと思います」と笑顔を見せた。

　先制点を奪った小林は、完全に勢いに乗った。後半14分には大久保へお返しとなる絶妙なスルーパスを通して、チーム3点目をお膳立て。さらに同34分にはDFジェシのクロスをヘディングで完璧に合わせて、自身2点目を豪快に叩き込んだ。2得点1アシストという結果だけでなく、チーム2点目の起点にもなっており、全得点に絡む大車輪の活躍を見せた。だが、本人は至って謙虚だ。

「アシストは(大久保)嘉人さんの動き出しが良かっただけです。そんなに難しいパスでもなかったし。嘉人さんが落ち着いて決めてくれました。僕の2点目もジェシが素晴らしいボールを上げてくれました。ヘディングで合わせるだけだったので、ジェシに本当に感謝したいです」とチームメイトの良い動きが、結果に結び付いたことを強調している。

　自身は4戦4発と絶好調をキープ。そしてチームも、ようやく今季リーグ戦初白星を挙げた。「勝てていない試合が続いていましたが、内容が悪いわけではなかった。今日は勝てたのが一番。1勝すれば前向きになれるし、前向きに行けるチームです」と、この白星がチームに与える影響は大きいと話した。

(取材・文　折戸岳彦)

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