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“ポスト平戸”に大きな希望…町田ルーキーMF岡田が初CKアシスト「僕にしか出せないものがある」

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初アシストを記録した町田MF岡田優希

[3.30 J2第6節 町田1-0愛媛 町田]

 偉大な前任者から学び、そこに自らの色も付け加えた。FC町田ゼルビアMF岡田優希は愛媛戦の後半19分、鋭い右CKからDF藤井航大の決勝ゴールを導き、プロ入り4試合目で初アシストを記録。「直接アシストするのはサッカー人生で初めて。横からネットが揺れるのってあんな感じなんだって思った」と素直に喜んだ。

 昨季の町田はセットプレーからリーグ最多の27得点を記録。その中心に君臨していたのは精密な右足キックを持つMF平戸太貴だった。しかし、鹿島から期限付き移籍していた21歳はレンタルバックで古巣に帰還。大きな武器を失った町田は今季開幕5試合でFKやCKからの得点がなかった。

 そこに現れたのが大卒ルーキーの岡田だった。「昨年の戦いぶりを見ても、セットプレーが得点源だったのは僕自身も分かっていた。キッカーを任せていただいている期待に応えようと思って、いいキックができるように準備してきた」。初先発を飾ったJ2第4節の金沢戦以来、キックの練習に重点的に取り組んでいたという。

 そうして迎えた第6節愛媛戦、ついに努力が実った。狙っていたのは平戸の代名詞でもあったふわりと落とすコースよりも、やや低く鋭い弾道で入っていくようなボール。「彼の武器は僕にはないし、僕が彼と同じところを狙った時に僕にしか出せないものがある」。狙いどおりに蹴られたボールに対し、マークを外した藤井がドンピシャのヘッドで合わせた。

「アイツのボールは全部いいところに来ていたし、もともと速いボールは得意。太貴のキックのようにファーを狙ってみようってことだったので、彼なりに勉強してスペースマークの裏に置くようなイメージで出してくれた。あのゴールは緩いボールだったら難しかったと思うし、速いボールだったから良かった」。決めた藤井も絶賛のキックだった。

 もともとシュート性のキックを持ち味とする岡田にとって、セットプレーのキッカーは近年になってからの武器。大学4年時の昨季、同級生のMF相馬勇紀(名古屋)がチームを空けることが多かったため、「自分の幅も広がるはず」と代わりに担った役割だった。

「そういうキックもできるようになればシュートのバリエーションも増えるし、直接FKも任せてもらえると思う。最初から得意だったわけじゃないけど、少しずつ自分のものにしていくことでチームのためにもなるし、自分にもチャンスが巡ってくると思って取り組んできた」。

 そうした『幅を広げる』という課題は、プロ生活をスタートした岡田の一大テーマとなっている。「ここでは自分の幅を広げ切れないと試合に出られないと思っているし、そのために町田に来た」。加入内定後からことあるたびに強調してきた姿勢は、実際のプレーにもしっかりと落とし込んできた。

 ただ、幅を広げようとするあまり器用貧乏になるつもりもない。「自分の武器をまだまだ発揮し切れなかった。町田の強化の方に評価してもらったゴール前の部分を、自分の幅を広げつつ出せるようにというのがこれからの課題」。幅を広げることへの手応えは徐々につかんできたが、プロの世界で生き残っていくには明確な武器が必要となるからだ。

「やっぱり一番外でボールを持ってから、どう侵入していくかの力が足りない。スルーパスを狙ったり、シュートを狙ったりという最終局面の強さは間違いなく武器だけど、その前の組み立ての段階とかボールを動かすところのクオリティーがまだ足りていないと思う」。

 そうした課題と向き合うからには、求められるのは確かな結果。「いろんなプレーをしながら最後に結果を出せる選手になるのが今季の目標。まだ結果は出ていないけど、ちょっとずつ近づいている手応えはあるので取り組んでいきたい」。待望の初アシストを記録した今、次に目指すはプロ初ゴールだ。

(取材・文 竹内達也)

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