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西村負傷で“難役”トップ下へ…横浜FM渡辺皓太が示した存在価値「戦うこと、走ることができないとチームが回らない」

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サポーターが選ぶMOMのマリノス君人形を手にする横浜F・マリノスMF渡辺皓太

[9.10 J1第29節 横浜FM 1-0 福岡 日産ス]

 中2日の過密連戦を最後までタフに走り抜き、苦境に陥っていたチームに連勝をもたらした。それでも横浜F・マリノスMF渡辺皓太は「どんな試合も勝ちたいし、そこに自分がいられることは嬉しいこと」と控えめに述べながら「ただ、この2試合だけではなく最後まで表現しないといけない。2試合は終わったことなので、次の京都戦に向けてまたチームのためになれるように準備したい」と前を向いていた。

 今月10日のJ1延期分・湘南戦(○3-0)で4試合ぶりの先発機会を掴み、公式戦6試合ぶりの白星に貢献していた渡辺。福岡戦まではたった2日間の準備期間しかなかったが、再びキックオフからピッチに立った。「試合が終わってから次の試合のためにできることを100%で準備することが大事だし、いかにリカバリーして100%で試合ができるかをこの2日間意識してやってきた」。DF岩田智輝のCB起用が続き、MF山根陸がU-19日本代表活動で不在の中、冷静に準備を続けてきた。

 そうして迎えた福岡戦では前半14分、的確なポジショニングと持ち前の技術を活かしたインターセプトで先制点の起点となった。そして同20分すぎからは無念の負傷交代となったFW西村拓真の代役としてトップ下のポジションを担った。「少しの時間しかやったことがないポジションで、最初は少しフィットするのに時間がかかったけど、どんなポジションで試合に出ても自分らしさを表現しようと思ってプレーした」。まずは自身の持ち味を発揮することを意識していたようだ。

 もっとも、横浜FMのトップ下は経験豊富なMFマルコス・ジュニオールですら出場機会を得られていないほどの難しいポジション。これまで強度や運動量の面で西村が圧倒的な存在感を見せてきた中、スクランブルで代役を担った渡辺にも当然そうした役割が求められる。技術を活かしたボールへの関わり方を武器にキャリアを切り拓いてきた渡辺にとって、決して得意とするタスクではないように思われた。

 ところが、この日の渡辺は局面のデュエルや献身的なプレッシングでも積極性を見せ、タフな戦いを強いてくる福岡相手に後れを取ることはなかった。またボールに関わり続ける中での運動量でも出色の存在感を放った。それも中2日という連戦にもかかわらずその役割を90分間通して続けてみせた。

「マリノスのサッカーは一人一人が戦うこと、走ることができないとチームが回らなくなってしまう。チームに貢献したい気持ちでやり切った」

 すがすがしい表情でそう振り返った渡辺は“プレスのタイミング”についての記者からの質問にも「タイミングというより、自分たちのチームは全部プレスをかけ続けるのを90分やらないといけない。全てプレスに行けるように頑張った」と苦笑い気味に返答。横浜FM所属も3年が過ぎ、そんなタスクは“もはや当然”という口振りだった。

 それどころか自身に新たな課題も突きつけていた。「トップ下で出たからにはゴール前にもっとパワーを持って入っていくのは自分にないところなので、次もやることがあればゴール前で違いを出せるようにプラルアルファで意識したい」。試合後、西村は左足首の状態について「わからない」と述べており、空位が懸念されるトップ下のポジション。最後までもつれそうな優勝争いに向け、背番号6が圧巻のパフォーマンスで名乗りをあげた。

(取材・文 竹内達也)
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