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J2で味わった挫折、J1帰還で掴んだチャンス…福岡DF三國ケネディエブスが“CBで”J1初出場「やっとスタート地点」

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MF水沼宏太とマッチアップするDF三國ケネディエブス(写真右)

[9.10 J1第29節 横浜FM 1-0 福岡 日産ス]

 アビスパ福岡DF三國ケネディエブス横浜F・マリノスとのアウェーゲームで約1年半ぶりのJ1リーグ戦出場を果たした。昨季途中から栃木に期限付き移籍していたが、今季はJ2リーグ戦3試合の出場にとどまり、8月から再び福岡に帰還。挫折を乗り越えた22歳は「やっとスタート地点」と闘志を燃やした。

 三國はプロ3年目の昨年5月、J1昇格直後の福岡から栃木への期限付き移籍を決断。夏ごろまでの12試合はCBのポジションで先発し、初めてコンスタントな出場機会を得ていた。ところがシーズン後半戦はレギュラー落ち。パワープレーと守備固め要因での終盤起用が続くと、引き続き栃木に所属した今季は2試合の先発にとどまり、J2の舞台で苦境を味わっていた。

 それでも三國は腐るつもりはなかったという。「目標としている場所が高いので、J2で試合に出られていなかったのは悔しいというか、情けない気持ちでいっぱいだったけど、日々のトレーニングでは絶対に誰よりも努力してやってきた自信がある」。そうして迎えた8月、残留争いで苦しむ福岡へのレンタルバックが決定。J1の舞台に再び帰ってきた。

 J2で出場機会の得られなかった選手がJ1で出番を掴むことは容易ではない。だが、三國は野心を燃やしていた。「栃木ではなかなか試合に絡めず、この年齢で試合に出られていないのは危機感を持っていた。アビスパに帰れるとなった時、カテゴリが上がるけどチャンスだなと感じていた。もし1試合でもチャンスをもらえれば、モノにして這い上がろうと思って帰ってきた」。そのチャンスがこの日、首位とのアウェーゲームという難しい一戦で巡ってきた。

 J1での出場は昨年3月17日の鹿島戦、同21日の鳥栖戦に続き、1年半ぶり3試合目。ただ、当時はセンターフォワードでの起用だったため、センターバックでの出場はこれが初めてだった。そうした中、三國は持ち味の対人戦で積極な姿勢を見せ、引いてボールを受ける相手にも高い位置までアプローチ。ハイレベルな相手攻撃陣を相手に奪い切れる場面こそ多くはなかったものの、危険なエリアへの侵入を許すシーンはほとんどなかった。

「J1首位の相手で個人的にもそういう相手とやれて良かった。流動的にやってくる中で、今まで以上に頭を使って、声を掛け合ってプレーしないとすぐに失点してしまうような相手。スムーズに声を掛け合って、潰しに行くところは潰しに行って、何度かファウルを取られる場面もあったけど果敢に挑戦できたと思う」

 そう手応えを感じていただけに、前半14分の失点シーンには悔しさが残った。渡辺皓太、水沼宏太、西村拓真、アンデルソン・ロペスとつながったパスは一寸のズレもないハイクオリティーなものだったが、「そこをいかにDFが止められるか」と三國。「少ないチャンスで得点してくるのがトップレベルのチーム。FWが点を取る仕事で、DFはゴールを守る仕事でもあるので、突き詰めてやっていかないと、今後も失点してしまう。そういうところを防げるような選手になっていかないといけない」と力強く語った。

 ようやく帰ってこられたJ1リーグの舞台。三國は「個人的にCBでJ1に出るのは初めてだった。去年はFWで出ていたのでやっとスタート地点」とセンターバックで勝負していく構えだ。「フィジカルは通用したけど、相手の質の高さ、一瞬のスピードは考えさせてくれないプレーが多かったので、もっと慣れていかないといけない」。自身の課題を真摯に見つめつつ「今日のプレーを最低ラインとして、これ以上のパフォーマンスを見せていきたい」と意気込む。

 福岡はこの日の敗戦によりJ1参入プレーオフ圏16位に転落し、残留争いは厳しい状況となっている。それでも三國は「もう5試合しかない。下を向いていたら残留もできないとみんなも分かっている」とキッパリ。ロッカールームの雰囲気も悪くはないようで、そんなチームの中で自信が盛り上げ役を担おうとしている。

「福岡に帰ってきてチャンスをもらえてプレーができたことをポジティブに捉えている。悔しい思いをしたからこそ、その経験が福岡に帰ってきて活きてくると思う。今後のサッカー人生において非常にプラスになる期間だった」。J2で味わった挫折も自身の糧。「僕が若手として周りを鼓舞していければ自ずと先輩たちの士気も上がっていく。僕が先輩に負けじとチームを盛り上げていけたら」と前を向いた。

(取材・文 竹内達也)
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