beacon

磐田MF古川陽介のJ初ゴールは残留望みつなぐ劇的弾!! 圧巻ドリブルで時間稼ぎも「ここで蹴ったら普通の選手やなと」

このエントリーをはてなブックマークに追加

ジュビロ磐田MF古川陽介

[10.12 J1第27節延期分 横浜FM 0-1 磐田 日産ス]

 首位の横浜F・マリノスを破り、最下位ジュビロ磐田にJ1残留の希望をつないだのは、静岡学園高出身のルーキーMF古川陽介の記念すべきJリーグ初ゴールだった。後半35分、左シャドーのポジションに投入されるとわずか4分後、“師弟関係”にあるDF松原后とのコンビでカウンターを牽引。最後はトラップが流れて厳しい体勢となったが、強引に振り向きながらの右足シュートでゴールマウスにねじ込んだ。

 対面には横浜FM守備陣がなんとか戻ってきており、ペナルティエリア右にはFW大津祐樹の姿。しかし、主役の座は譲らなかった。「一瞬いろんなことを考えたけど、『今日は俺が行ったる』と気合が入った」。ファーストタッチがやや後ろに流れても判断は変えず、「相手がまだ戻りきれてなくて、シュート本数も少なかったし、僕が流れを変えるという意気込みも含めて、足を自信持って振った」。ルーキーらしい果敢な姿勢が相手のシュートブロックを破った。

 劇的なゴールをお膳立てしたのは、後半35分に同時投入された松原だった。今季途中にシントトロイデンから加入し、それまで「全然面識はなかった」というが、いまや「すごく良くしてくれている兄貴的な存在」(古川)。髪をサラリと触れながら「この金髪も后くんを意識した」と照れ笑いを浮かべた19歳は「后くんが毎回僕を使ってくれるのでそれがゴールにつながった」と感謝も口にした。

 静岡学園高で高校選手権を沸かせ、鳴り物入りでプロ入りした古川だったが、ここまでJ1リーグでわずか3試合の出場。「今年はすごくモヤモヤすることが多くて、チームに貢献できていなくて不甲斐ない気持ちでいた」。その上、チームも厳しい残留争いの真っ最中。「ベンチにいるだけでめっちゃ緊張していたし、サッカー人生の中でも新しい雰囲気」と経験したことのない重圧もあったという。

 それでも終盤戦で、プロ入り後初の3試合連続ベンチ入り。「今日は特に気持ちがすごく入っていて、身体の準備も抜群にできていた」。見事なゴールで起用に応え、「こういう緊迫感ある試合になることは想定していたので、そういう中で勝負強さを出して、結果を残せたのは自信になった」と胸を張った。

 そんな古川にとって、ゴールシーンの他にも自信になったプレーがあったという。それは後半アディショナルタイム5分の場面。味方のクリアボールを自陣深くで受けた古川は、自慢のドリブルでスルスルと前進すると、最後はDF岩田智輝を緩急で一気に抜き去り、勝利に向けて時間を進めるマイボールのスローインを獲得していた。

「外に蹴り出して時間を稼ごうと思ったけど、『ここで蹴ったら普通の選手やな』と思って(笑)。少し武器を見せられたのかなと思う」。“シズガク”らしさ全開のシーンだったが、古川にとっては自らがプロで生き抜くためのすべ。「どんな試合でも出られる選手にならないとダメだし、岩田選手をかわして時間を作ったシーンとか、ああいうプレーでもアピールしていかないといけない」と力を込めた。

 もっとも、古川にとってこの初ゴールはあくまでもスタートライン。自身のキャリアをさらに豊かなものにするためには、目の前の残留争いで結果を残す必要に迫られている。残る3試合は清水、G大阪、京都といずれも残留を争う“シックスポインター"。まずは22日の次節、共に自動降格圏の清水との静岡ダービーが控えている。

「アイスタなので静岡市に住んでいる学園のスタッフも来てくれると思うし、天王山の試合になる。その中で観客の人を楽しませるプレーと、チームを勝たせるプレーを両方できるように準備していきたい」。首位との一戦で大仕事を成し遂げた19歳は一回り大きな自信を胸に、次の大一番を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2022シーズンJリーグ特集ページ
●DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

TOP