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“まさかの連敗”経てラスト2戦、横浜FMが選んだ優勝への道…喜田拓也「続けて、貫き通して、乗り越えることだった」

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最終節セレモニーで挨拶したMF喜田拓也

[10.29 J1第33節 横浜FM 4-1 浦和 日産ス]

 優勝決定の可能性があった前々節・G大阪戦(●0-2)、前節・磐田戦(●0-1)でまさかの連敗を喫し、独走状態から一転、激しいデッドヒートに巻き込まれた横浜F・マリノス。今季のホームゲームではそれまで一度も敗れておらず、それも降格圏のチーム相手の連敗ということで、さすがに大きな重圧がかかっているであろうと思われた。

 ところが16日間の“小休止”を経て迎えたこの日、横浜FMは前半戦アウェーゲームで3-3の引き分けに持ち込まれた浦和レッズに対し、4-1の圧勝を収めた。他会場で2位の川崎フロンターレも劇的な白星を挙げたため、今節での優勝決定とはならなかったが、見事な復活劇で首位のまま11月5日の最終節を迎えることが決まった。

 キャプテンのMF喜田拓也は最終節セレモニーの終了後、ミックスゾーンで大きな手応えを語った。

「まずこれだけお客さんが入ってくれたことでマリノスへの期待、マリノスへの想い、愛というのを非常に感じられた。1年間通してみればやはり簡単な道のりではなかったけど、ホーム最終戦でマリノスらしいゲームができたと思うし、自分たちが積み上げてきたものが随所に出ていたと思う。スコアもそうだし、ゲーム内容というところでも自分たちの意図したところが非常に多く出せていた」

 表情には安堵もにじんでいたが、その言葉に込められていたのは、ここまで積み上げてきたものへのプライドだった。下位相手のホーム2連敗というショッキングな結果にもブレず、横浜FMらしく攻撃的なスタイルを貫く方向を選んできたからこその自信が、主将の心を支えていた。

「僕らとしては連敗という状況で、状況を変えるために何かを変えて挑むという選択もなくはなかったと思うけど、僕らが選んだのは、“続けて、貫き通して、乗り越える”ことだった。そこは今日の結果に反映させられたと思う。乗り越え方のところでもマリノスの色が出たと思うし、質のところもそうだし、姿勢のところでも乗り越えていくというところを出せたのかなと思う」

 そうした“マリノスらしさ”への指向はコーチングスタッフも同じだったという。「僕らがずっとやってきたことに対するミーティングだったので、そのメッセージ性も僕らはそうやって(継続性を)受け取ったし、練習内容もガラッと変えたかっていうとそうではない。最終盤に来て、ホームで2連敗というと一見ダメージがありそうだけど、僕らとしては動じることなくやってきた」。それどころか「ホーム最終戦っていうタイミングでもあったし、ここは自分たちの姿勢を見せるタイミングなんじゃないかというふうには各々思っていた」と、あらためて“マリノスらしさ”を見せつけるチャンスだと捉えていたようだ。

 実際に浦和戦では、G大阪戦や磐田戦では影を潜めていたキックオフ直後のラッシュ、得点を重ねてもなお失わないゴールへの勢い、交代出場の選手を活かしながらの終盤の猛攻を随所に披露。3試合ぶりの得点を皮切りに4ゴールを重ねた。またシーズン当初からの指向だけでなく、シーズン途中の“学び”も表現。5月18日の前半戦アウェーゲームでは3-0から3-3に追いつかれ、白星を逃していたが、その反省もゲームプランに落とし込んでいたという。

「ずっと『悔しい思いを無駄にしない』ということでやってきた。レッズ戦に関して言えば、アウェーでも痛い目に遭ったし、あの試合後にみんなで話して『最後に“これがあってよかったな”“この試合があったから成長できたな”というレベルまで持っていけるように』という話をしてたので、まさにその状況だった。ハーフタイムもそうだし、1点返されてもそうだし、そこのゲームコントロールだったり、主導権を握り返すところのパワーの使い方は非常に良かったと思うし、あそこで崩れなかったところは一つチームの成長だと思う。みんなでどんなに悔しくてもつらくても絶対に無駄にしないことでやってきて、それが一つ形に表れた」

 続けて、貫き通して、乗り越えたことで掴んだ白星。この成功体験により、自力優勝がかかる最終節という大一番にも、マインドセットを変えずに臨むことができそうだ。

「あらためて自分たちの良さだとかを確認できたという意味では、すごく結果以外でもいい試合になったと思う。最終盤に来て、これだけいろんなプレッシャーもそうだし、いろんなモノがかかった試合でこれだけ出せるというふうにみんなに自信になったと思う」

 11月5日に敵地で行われるヴィッセル神戸戦は勝てば無条件、引き分けでも川崎Fが11点差以上で勝たなければ優勝が決まる。「結果を恐れる必要はないし、自分たちはチャレンジャーなので、また自分たちらしいサッカーをするために1週間準備していく。あと結果のところは絶対に外せない。最後に取り切って完結だと思う」。そう力を込めた喜田は「まだ満足できるものはないし、本当にみんなと獲りたいという一心だけ」と断言。頼れる主将は迷いも油断もなく、運命のラストマッチに挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)
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