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「キーパーだけど…」藤枝内定の桐蔭横浜大GK北村海チディが“大胆宣言”! 叶えた夢を与える存在に

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藤枝MYFC内定のGK北村海チディ

 ゴールキーパーとしては“珍しい”大胆な宣言だった。桐蔭横浜大は26日、神奈川県横浜市青葉区にあるキャンパス内で、Jリーグクラブ内定選手の合同記者会見を実施。来季、藤枝MYFCに加入するGK北村海チディ(4年=関東一高)も登壇し、「結果で恩返ししたい」と意気込みを語った。

 埼玉県出身の北村は、GRANDE FCから進学した関東一高の1年時に全国高校サッカー選手権でその名を轟かせた。日本中が注目した開幕戦の野洲高戦で、先発GKが負傷するアクシデントに見舞われ、急きょゴールマウスに立ったのが北村だった。緊急出場にもかかわらず見せた驚異的な反応と、1年生とは思えない落ち着きに誰もが目を丸くした。

 その後北村は、選手権での活躍がプレッシャーとなるも、もがきながら東京を代表する守護神へと成長。高卒でのプロの夢は叶わなかったが、その旅を関東大学サッカーリーグ1部の桐蔭横浜大で続けることを決断し、2019年の4月に門を叩いた。

「1年生の頃は、高校から大学に入ってきて凄く苦しんだが、2年、3年と苦しみながらもひたむきに戦い続けることで自信を身に付けて、このチームでは欠かせない選手になってくれた」(安武亨監督)

 指揮官が記者会見の中で話したように、北村も「プロになれたのは、2年生の時に腐らずにやれたことが大きい」と言及。「橘田(健人/川崎F)くんや鳥海(芳樹/甲府)くんが自主練でたくさんシュートを打ってくれた」と自身の武器でもあるシュートストップを伸ばし続け、3年生の最後に早坂勇希(川崎F)の負傷によって出番を得た関東リーグの3試合で自信をつけたという。

 そんな北村の強みを安武監督は、「跳ぶことと走ることの才能が抜群で、たぶん、(桐蔭横浜大の)歴代ナンバー1ってくらい跳ぶんじゃないかというバネを持っている」と評価。藤枝の強化担当を務める大迫希氏も、「本当に止めるところが抜群。キックやスローのところで攻撃の起点となれる選手」と期待を込めている。

 今季、超攻撃的サッカーでJ2昇格を果たした藤枝は、守護神の内山圭が鳥栖へ移籍し、杉本拓也と名良橋拓真が契約満了により退団。来季の開幕戦でゴールを守るチャンスもありそうだが、北村はプロの世界に慣れることを最優先としている。

「キーパーは、アマチュアからプロになるにあたって一番レベルが違うと思う。開幕スタメンは狙っていきたいが、まずは地盤を固めてから試合に出たいという思いもある。そのために、今はプロのスピード感を意識して練習に取り組んでいる」

 追い続けて掴んだJリーグへの挑戦権。北村の目からは、そのチャンスを簡単には離さないという気概を感じた。自身の武器を「シュートストップと攻撃の起点となるキック力」と胸を張る北村は、「Jリーグの舞台では、キーパーだけどアシストを記録できるように頑張っていきたい」と宣言。178㎝という、GKとしては決して高いとは言えない身長と向き合って手に入れたバネとキックで、「身長が低くて悩んでいるGKに夢と希望を与えられるように」と、努力で道が拓けることを証明する。

(取材・文 成田敏彬)
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