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山梨学院大DF関口凱心、“未経験”右SBでJデビュー! 相手10番抑え込むも乾に先制点献上「それがプロとの差」

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大宮でJリーグデビューした山梨学院大DF関口凱心(4年=西武台高)

[4.22 J2第11節 大宮 0-3 清水 NACK]

 憧れの地でのJリーグデビューはほろ苦い結果に終わった。大宮アルディージャの特別指定選手として登録された山梨学院大DF関口凱心(4年=西武台高)は22日、J2屈指の選手層を誇る清水エスパルス戦に右サイドバックで先発出場。持ち味の対人守備では背番号10のMFカルリーニョス・ジュニオを封じ込めたものの、クロス対応でMF乾貴士に決められた1失点目に絡み、「シンプルに一番悔しい思いが強い」と悔いを残した。

 かつて大宮ジュニアユースで過ごした関口は今月5日、来季からの正式加入が発表され、7日には特別指定選手としてトップチーム登録も完了。今週は山梨学院大が所属する関東大学リーグ2部の公式戦がなかったため、大宮に帯同してトレーニングを行っていた。すると試合2日前の練習時、先発での出番が伝達され、さっそくのJ2リーグ戦デビューが決定。それもポジションは大学で務めているCBやボランチではなく、未経験の右SBだった。

 思わぬポジションでの抜擢には「正直驚いたのもあった」と口にした関口だったが、「大学生は即戦力だと感じていたし、準備はしていた」と試合出場の心構えができていた。「自分の持ち味であるスピードを活かした対人守備は評価されていたので、それを出してやろうという思いでやっていた」。山梨学院大からは昨季、町田のFW平河悠が特別指定選手として活躍。「自分もそうなりたいというのがあった」という大学生デビューのピッチに自信を持って立った。

 前半6分には右CKのこぼれ球に反応し、果敢にファーストシュートを披露。また同10分過ぎにはブラジル出身のカルリーニョス・ジュニオとの1対1を強いられたが、適度な間合いを保った対応で危なげなく止めて見せた。上々の滑り出し。ところがなんとかチーム全体で耐え抜いていた同20分、プロの違いを見せつけられる形となった。

 中盤で清水にボールを収められ、左サイドに展開されると、DF岸本武流からのアーリークロスがペナルティエリア内右へと向かってきた。関口は自身の間合いでクリアしようと試みたが、目の前に飛び込んできたのは乾。ヘディングシュートで先に触られ、痛恨の先制点を献上する形となった。

 乾は試合後、駆け引きを振り返って「相手も来ているのが気づいていなかったか、俺だから油断したのかわからないけど、しっかりディフェンスできていない感じだったので、先に触ればどうにかなるかなと思って飛び込んだ」と話していたが、関口は「正直見えていなくて、自分の状況判断が悪かった」と反省。「もっと周りを見ないと。大学だったら出てこない足とか頭があったので、それがプロとの差だと感じた。それを突き詰める必要がある」とレベルの違いを突きつけられるワンシーンとなった。

 もっとも前半22分にもカルリーニョスの突破を止めるなど、冷静さは失わなかった関口。「失点した後にチームメートの人たちが気にするなと言ってくれた。失点以外のところはやれていた部分があったので、切り替えて、自分が取り返してやろうと思ってやっていた」。やや攻勢に転じた同42分には果敢な攻撃参加からミドルシュート。「失点したのが自分のマークで、自分の後ろから叩かれたので、なんとしてもその分を取り返したい気持ちがあった」。GK権田修一の正面に飛んだが、名誉挽回への気持ちは見せた。

 それでもチームはハーフタイムが明けても攻撃の形をつくれず、関口自身も後半17分に主力右SBの岡庭愁人と交代。J2デビュー戦は62分間で幕を閉じた。今後は再び大学に戻り、「プロだったら足が出ないところから出てきたり、頭が一つ上から出てきたりしたので、大学ではそういう一つ一つのところをこだわってやっていきたい」とこの日の経験を活かしていく構えだ。

 今後も大学リーグがない週には大宮に帯同する予定で、再びNACKスタジアムのピッチに立つことを目指す。その日に向けて支えになるのはこの日、憧れのピッチで浴びた大声援だ。「アップから個人を応援してくれていると感じていたので、その応援に応えないといけないと思って試合に臨んで結果が出なかったのは悔しい」。その経験も糧に「勝ちきれなかったのが悔しいので次は絶対に勝ちます」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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