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“秋春制”移行後も天皇杯は元日決勝? Jリーグがシーズン移行の議論経過説明、降雪地アウェー連戦の具体案も提示

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経過説明を行った樋口順也フットボール本部長

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は27日、理事会後に記者会見を開き、“春秋制”から“秋春制”へのシーズン制移行に関する議論の進捗状況を報道陣に説明した。理事会では、シーズン制移行を行った場合に最速導入となる2026-27シーズンの日程案をA・Bパターンとして提示。それぞれのパターンにおける、冬場に想定される降雪地域のクラブのアウェー連戦数などを共有したという。

 Aパターンの日程は、Jリーグ側が4月の議論当初から示してきた移行後のスケジュール案と同じもの。J1リーグの場合、冬場は12月の第3週までリーグ戦を行った後、ウィンターブレイクに入り、2月第2週からシーズンが再開する。Bパターンは現状の開催時期に合わせた日程。12月の第1週までリーグ戦を行った後、ウィンターブレイクを設け、2月第3週からシーズン再開となる。

 J1リーグは来季以降、現行の18クラブから20クラブに拡大されることに加え、最速移行が実現した場合の2026-27シーズンは北中米W杯の影響も受けるため、ミッドウィークの試合は現状よりも多くなる見込み。Aパターンの場合は4〜5日程度になり、Bパターンの場合はウィンターブレイクが長くなるためさらに2日程度増えるという。

 いずれの場合も積雪地域にホームタウンを置くクラブは冬場の試合開催が難しくなるため、現在の開幕直後と同様にアウェー連戦が続く見込み。Aパターンの場合は「6連続、7連続アウェーになることも想定しながらシミュレーションを進めている」とJリーグ担当者。一方、それ以外のクラブは日程を調整することにより、現状のシミュレーションにおいては「ホームゲームが3連続になるような偏りは起きていない」という。

 その他、Jリーグでは27年冬、31年夏のアジアカップも想定し、長期スパンでのシミュレーションを行っている。なお、移行が行われた場合、天皇杯は元日決勝を維持する方向で日本サッカー協会(JFA)と調整が進んでいるといい、シーズン開幕の8月から翌年1月1日までの短期決戦で大会が行われることになりそうだ。

 加えてJリーグは今月、シーズン移行に関する専門的な議論を行うべく、各クラブの担当者が集う4つの分科会を設置した。競技レベル、試合日程、移籍への影響、JFL・大学・高校との連携、移行期の大会方式、試合運営などを議論する①フットボール分科会と、スタジアム入場者、関心度、パートナー・スポンサー・ステークホルダーに関する事項などを議論する②事業・マーケティング分科会はすでに1回目の会合を終えている。

 これまで最も議論が進んでいたフットボール分科会では、夏場の試合がもたらす選手のクオリティーへの影響に関する資料も共有された様子。現状のシーズンでも6月から8月にかけては、選手の走行距離、ハイインテンシティでのプレー、スプリント数などが大きく減少するというデータも提示されたようだ。

 こうした夏場の環境が選手に与える影響について、野々村芳和チェアマンは「シーズン制とは全く関係なくても、選手ファーストで考えた時、どんな環境でゲームをやっていくのがいいのかの議論を、このタイミングでサッカー界でしなきゃいけないなというのがある。シーズン移行にくっつけてその話をしがちだが、本来フットボールがどうありたいんだという議論をすることが必要なのかなと思っている」と展望を述べた。

 今週末には降雪地域のクラブのアウェー連続数、練習環境、スタジアム環境などを議論する③降雪地域分科会、移行期の経営状況、年度の変更、クラブライセンス、JFA・Jリーグの支援などを議論する④経営管理分科会も初回の会合を予定。Jリーグ担当者によると、ほぼ全てのクラブからいずれかの分科会に担当者が参加しているという。

 分科会は8月上旬にかけて各3回ずつを予定しており、そこで出された情報や意見をもとに、9月にかけて「シーズン移行をすべきか否か」の本格的な議論に入っていく予定。その後、今年中をめどに理事会での最終決議を行う。

(取材・文 竹内達也)
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