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実質“夏夏制”移行? Jリーグ側が強調「サッカーをやるシーズンはそれほど大きく変わらない」

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Jリーグが公開した移行案

 Jリーグは25日、東京都内のJFAハウスで理事会を開き、シーズン移行に向けた議論を行った。終了後には記者会見も開かれ、樋口順也フットボール本部長が報道陣に「時間をかけて議論を始めていく段階で、現時点で賛成か反対かという議論を行っている段階ではない」と現状のステータスを明かした。

 Jリーグはこの日、シーズン移行した場合のスケジュール案も公表。Jリーグ案は開幕を「7月最終週〜8月1週ごろ」、閉幕を「5月最終週〜6月1週ごろ」と想定した上で、雪国への配慮から「12月3〜4週ごろ」から「2月1〜2週ごろ」までの約1か月超にわたってウインターブレイクを設置するという日程を組んだ。ウインターブレイクが長く設けられた影響で、これまで想定されていた“秋春制”というよりも「夏開幕、夏閉幕」の実質“夏夏制”とも言えるようなスケジュールとなった。

 現状のシーズンは「12月第1〜2週」に閉幕し、「2月第3〜4週」ごろに開幕し、夏場に約2週間のサマーブレイクを設置する形。そのため樋口本部長は「シーズン移行というと、サッカーをやるシーズンが全く変わるのではないかというイメージもあるかもしれないが、実際にサッカーをやるシーズンはそれほど大きく変わらないと認識している」と強調した。また「6月と7月に休むカレンダーになるが、たとえば4年に1回W杯があるシーズンは今のシーズンでも休んでいる」とし、全体としてW杯開催年のようなスケジュールになるという見解を示した。

 Jリーグは今回、シーズン移行の検討を行った理由として「外部環境の変化をきっかけに、日本サッカーにとって最適なカレンダーを考える」というテーマを提示。外部環境にはAFCチャンピオンズリーグのシーズン制移行や、クラブW杯・国際Aマッチウィンドーの変化を挙げているが、今回の移行案では開催時期を大幅には変化させず、開閉幕のタイミングのみ世界基準に合わせる構えだ。

 検討の進捗状況は現在「各クラブにアンケートもとりながら、どのクラブがどういう考えを持っていて、その考えを集約するためにどういう情報が必要かを整理している段階」と樋口本部長。「たとえばフットボール視点で、シーズン移行をするとフットボールが良くなるという話があるとすると、何がどういうふうに良くなって、ファン・サポーターにどういうメリットがあって、日本サッカーがどう発展していくのかを可視化したい。可視化するためにどんな項目が必要なのかの洗い出しを5月までのタイミングで行っていく」と説明した。

 また5月から7月にかけて「必要な情報を収集・整理する」段階に移り、7月から9月にかけて方向性の議論を行う。「いくら情報を集めても、絶対にこっちがいいというふうにはならないと思っている。今のシーズンが100%完璧なものでは当然ないと思っているので、最終的には判断の問題。年内に一定の結論を出すべきだと思っている」と年内に理事会決議を行う予定。決議は「多数決」で行われるという。

 加えて樋口本部長はファン・サポーターとの意見交換を行う可能性も示唆。「まだどういうふうにお伺いすればいいかというイメージはできていないが、当然ファン・サポーターあってのJリーグ。たとえば7月は夏休みなのに試合をしないとか、12月と2月に試合が増えるが、寒いところにお客様は本当に来られるかとか、どのクラブ、どの地域にどれくらいの影響があるかをきちんとシミュレーションしたいと思っている。ファン・サポーターの皆さんにどのように楽しんでいただけるかは、もう少し情報を固めた上で何らかの形でお伺いできればと思っている」と述べた。

 これまでの議論でも想定されていたシーズン移行のデメリットについては素案に盛り込まれず、今後の議論に委ねられる形となった。

 記者会見で報道陣から雪国への補填について問われた樋口本部長は「もしシーズンを移行するとなった場合、それによって生じるコストが大きいクラブがある。そこに対してJリーグやJFAが全部補填するという話ではないと思うが、何かできることはないかを一緒に考えていくことになると思う」と答え、Jユースなど育成年代を含めた他リーグのスケジュールとの整合性については「Jユースに限らず、JFL、地域リーグも含めてどうするかという抜本的な全体像をJFAと一緒に描いているところ。新人の選手がどのタイミングでどう加入するかや、どこかのタイミングでズレがあった場合、入れ替えはどういったタイミングでするかなど、その辺りは抜本的にJFAと一緒に議論していく形になる」と話した。

(取材・文 竹内達也)
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