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A代表でスーパーミドル弾の浦和MF伊藤敦樹、欧州から帰国翌日にJリーグ出場「全部の試合に出るつもり」

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浦和レッズMF伊藤敦樹が45分間出場

[9.15 J1第27節 浦和 0-0 京都 埼玉]

 日本代表初先発で初ゴールを決めたキリンチャレンジ杯トルコ戦(○4-2)から中2日、浦和レッズMF伊藤敦樹はベルギーから日本への長距離移動を経て、時差ボケも覚めないうちに埼玉スタジアム2002のピッチに立っていた。「試合に出るからには移動の疲れを見せてはいけないし、ピッチに立つからには言い訳にはできない」。苦戦気味だった前半の流れを一気に変え、さすがの存在感で後半の猛攻を演出した。

「自分の存在をレッズで示していかないといけないと思うし、そうやって示すことが自分の使命でもある。レッズに帰ってレッズを勝たせられる選手になっていきたい」。

 鮮やかな左足ミドルシュートを突き刺し、A代表の舞台で爪痕を残したトルコ戦後。伊藤はベルギーの地で大勢の報道陣に囲まれながら、すでにこの一戦に気持ちを向けていた。ただでさえ厳しい中2日での一戦。そのうえ長距離移動と時差ボケへの対策も強いられる。それでも「こういった経験も初めてなので、良い経験にしていきたい」と前向きなモチベーションで帰国の途に着いた。

 トルコ戦を終えた12日夜に現地を出発し、7時間の時差を進めて14日朝に帰国。移動にはほぼ丸一日かかった上、天候不良で欧州内移動の航空便が欠航となり、長いバス移動を強いられるというアクシデントもあった。

 それでも欧州遠征の出発前にマチェイ・スコルジャ監督と「問題なければ試合に関わる」という方針を話していたという伊藤は帰国した羽田空港からそのまま浦和の練習場に直行。ランニングやマッサージで練習を終えたが、指揮官には「(コンディションは)全然問題ないです」と力強く宣言し、後半開始からの出場予定を告げられた。

 全体練習への合流はできなかっため、ゲームプランに沿ったトレーニングなしで迎える試合。いわば“ぶっつけ本番”だった。それでも「代表活動でかなり自信がついたし、2週間でも成長できた」という手応えも胸に準備は万端。いざ試合が始まると、ベンチで見つめた前半に試合の流れを見極め、ピッチ上でいかに振る舞うかのイメージを固めていった。

 そして後半からピッチへ。伊藤はキックオフから相手ボールホルダーに猛烈なプレッシングをかけ、さっそく高いプレー強度を表現すると、その後は右サイドの高い位置でタメをつくりつつ攻撃を牽引した。また後半16分には長い距離を持ち上がり、FWホセ・カンテの決定的シュートをお膳立て。同31分には鋭いクロスからFWブライアン・リンセンのビッグチャンスも演出し、フィニッシュは外れたもののアシストに値するプレーを見せた。

 しかし、結果は0-0のドロー。伊藤は自身のパフォーマンスに満足していなかった。「今日は結果を残したいと思って試合に入って、アシストやゴール、目に見える結果を残してチームを勝利に導きたかったけど、それができず、簡単なミスだったり、ポジショニングを少しサボってしまったり、個人としては納得いかない」。トルコ戦で見せた果敢なシュート姿勢も見せられず、「今日は1本も打てなかったのでまだまだ」と唇をかんだ。

 言い訳にするつもりはないが、「試合とは違う疲れを感じている」と時差ボケはまだ覚めていない。ただ、その感覚はA代表での生き残りを見据え、前向きな経験にしていくつもりだ。A代表通算74試合の経験を誇るDF酒井宏樹からは帰国後、「帰ってきてからの試合の難しさ、結果、プレーの評価は必ず求められる部分があるので、その中でも結果を残していかないといけない」という覚悟も授けられたという。

「より注目もされるし、期待もいま以上にされると思うので、その中で結果を残し続けて、チームを勝たせられる選手になれたらと思う」(伊藤)

 そうした決意はまず、20日に開幕を控え、連覇のかかるAFCチャンピオンズリーグに向けている。欧州から帰国したばかりの伊藤だが、週末には中国・武漢に移動。「忙しいですね」と苦笑いを浮かべつつも、「こういうタフな日程の中で全部の試合に出るつもり。その中で成長できると思うので、怪我には気をつけて、体調にも気をつけてタフに戦っていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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