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小林監督「彼には特別な武器がある」信頼の起用継続に応えた千葉FW田中和樹、今季35戦目で待望初ゴール!

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FW田中和樹

[10.8 J2第38節 千葉 1-1 水戸 フクアリ]

 今季からジェフユナイテッド千葉に期限付き移籍で加入してJ2リーグ戦35試合目、シーズン中盤戦以降の好調を牽引し続けてきたFW田中和樹にようやく今季初ゴールが飛び出した。「最初のほうはなかなか点が取れなくて悩んだ時期もあったけど……」。その中で23歳を支えたのは、監督やチームメートからの揺るぎない信頼。いまでは得点への迷いは消え、やるべきことに集中した結果、待望の初ゴールを掴み取った。

 0-1で迎えた前半39分だった。一人少なくなった相手が自陣に撤退してきた中、左サイドのパス交換に絡んでいったMF見木友哉からのクロスが送り込まれ、ファーサイドで反応。「身体の角度的にあそこしか蹴れない感じだったので」。とっさに繰り出した左足ジャンピングボレーでゴール左隅へ押し込むアクロバティックな一撃でネットを揺らした。

 J1の京都サンガF.C.からの武者修行で加入し、出場35試合目、先発26試合目での待望の初ゴール。それでも「長かった」という思いはなかったという。

「最初のほうはなかなか点が取れなくて悩んだ時期もあったけど、後半は出続けている中でチームのみんなからそんなに気にすんなと言われていたので、ゴールだけじゃないという感じでやっていた。得点以外でも自分しかできない武器、そういうプレーに自信はあった。ゴールを取るに越したことはないけど、取れない時期が続くんだったら他にやるべきことがある。ゴールだけがチームに貢献することじゃないとチームのみんなにも言われていたのでそういった言葉がありがたかった」(田中)

 田中がその間に突き詰めてきたのは「ハードワークを惜しまないこと」だ。チームメートの支えも受けながら、攻撃での背後への動き出しや攻守の上下動をひたむきに続け、直近13試合連続で先発の座を守り続けてきた。

 起用を続けた小林慶行監督は試合後の記者会見で、田中の言葉にも重なる思いを口にした。「ゴール以外での彼の貢献度は皆さんもよくご存知だと思うが、彼には特別な武器があるし、彼の明確な武器でチームをどれだけ助けてくれたか」。もっとも指揮官は、それでもなおゴールの大きな価値を強調した。

「すごく大きなゴールになると思う。アタッカーとしては数字が大事なので、それが出ることで彼がより成長できる」。その手応えは田中自身も同様だ。「(今後は)もっとリラックスして打てるようになるのは少なからずあると思う」と述べた23歳は「どんどん連続ゴールを狙ってやっていきたい」と力を込めた。

 この日は田中のゴールで追いついたものの、後半に5バックの相手を崩せずドロー。連勝が7で止まった。しかし、小林監督が「やるべきことはピッチ上で表現してくれた」「ピッチ上で表現されたものはすごくいいプレーができていた」と何度も強調したように、選手たちの間に焦りはなさそうだ。

 田中は相手を崩せなかった後半について「サイドに揺さぶって様子を見つつ、中に入り込んでワンツーとかの関わりをもうちょっと出せれば良かったけど、間違いなく水戸のほうも割り切って守るぞというのがあったので難しかった」と冷静に回顧。「ああやってブロックを敷かれたから点が取れなかったという言い訳は通用しないと思うので、周りの選手とどうしたら良かったかをすり合わせて次に向かってやっていくしかない」とすでに前を向いており、次のトレーニングから再びひたむきに精度向上に取り組んでいく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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Text by 竹内達也

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