beacon

JFL、高校年代もシーズン制移行の可能性が明らかに!! Jリーグ“秋春制”今後の論点は

このエントリーをはてなブックマークに追加

Jリーグが発表した今後の検討事項

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は24日、理事会後のメディアブリーフィングを行い、シーズン制移行に関する議論の現状を公表した。年内をめどに決議を行う方針で議論が進む中、今後の検討事項として6つの論点がピックアップされている。

 Jリーグは今年4月、現状の春秋制から秋春制へのシーズン制移行を検討していくことを発表。夏場の試合を減らすことによる試合のクオリティー向上、欧州のシーズン制に合わせることによる移籍・興行面のメリットがある一方、冬場の試合が増えることによる降雪地帯への影響、日本の年度との不一致などがデメリットに挙げられている。

 Jリーグ側が今回提示したのは「スタジアム確保」「JFL/地域リーグ/大学/高校などとの連携」「新人選手の加入タイミング/制度設計」「試合日程案の精査」「移行期の大会方式」「財源の活用方法」の6点。シーズン制移行に際し、主にハードルとなりそうなテーマにアプローチしていく構えだ。

 Jリーグによると「スタジアム確保」については、今週中に分科会を開催する予定。大半のクラブが行政所有のスタジアムを試合に使用し、Jリーグ日程に合わせて会場の予約を行っているが、シーズン制移行後は年度初めに予約を行うことができなくなるため、他団体などへの影響が懸念される。そうした中、今後の分科会で意見を集約し、対策を講じていく方針だ。

 「JFL/地域リーグ/大学/高校などとの連携」については日本サッカー協会(JFA)を中心として意見交換を実施中。Jリーグによると、JFL(日本サッカーリーグ)側からは「Jリーグのシーズン移行後はJFLも合わせてできないかという検討を進めている報告がある」といい、アマチュアカテゴリにも動きが出てくる可能性が出てきた。また高校年代の高円宮杯プレミアリーグ、プリンスリーグも夏場の試合を避けるため、9月開幕・6月閉幕への移行案が出ていることも明らかになった。

 「新人選手の加入タイミング/制度設計」については、現在と同じく「基本的には1月加入の方向で進めている」とJリーグ。新卒選手の加入に伴う選手登録枠についてはシーズン途中から増枠する方向性をはじめ、今後詳細を詰めていくという。また契約内容については日本プロサッカー選手会(JPFA)から「ABC契約」改革の必要性が訴えられている中、Jリーグ側も「抜本的な改革が必要になっている」と改革に前向きな姿勢を示した。

 「試合日程案の精査」については現状、ウインターブレイクを「12月第3週〜2月第2週」にするAパターンと「12月第1週〜2月第3週」とするBパターンが提示されているが、さらに細部を詰めた案を検討する予定となっている。

 「移行期の大会方式」については移行期の半年間でシーズンを行う0.5シーズン案、前年度と接続する1.5シーズン案の二者択一。今後、フットボール観点、ファン・サポーター観点、経営観点など、さまざまなステークホルダーのメリット・デメリットを整理し、いずれの案が良いか意見交換を行っていくという。

 「財源の活用方法」に関しては、降雪地帯の練習設備などが大きなテーマとなる中、「どのように、どれくらい使っていくか」(Jリーグ担当者)という幅広い議論を進めていく予定となっている。

 野々村芳和チェアマンはメディアブリーフィングで、シーズン制以降の議論の現状について「僕は選手の周りにいる人がどれだけ目線を高くして取り組めるかが一番大事だと思っていて、多くの人たちが10年後、20年後を考えて取り組むようになってきたのがすごく良い傾向で、良い時間を過ごせているんじゃないかなと感じている」と手応え。「その中でシーズンがどういう方向になっていくのが良いのか。多くのメリットが見えてきた中で、改善しないといけないところ、潰さないといけないところがあるのが今の状況」と懸念事項にも向き合っていく姿勢を示した。

 また今月21日にはアルビレックス新潟の中野幸夫代表取締役社長が取材対応で反対姿勢を明らかにし、その内容が22日に公式サイトでも掲載されているが、野々村チェアマンは「僕は反対する人、意見が違う人がいるほうがいいと思っている」と歓迎。「以前はもっと多くの人が懸念を持っていたのかもしれないが、丁寧に長い月日をかけて話していく中、どうやったら成長するかという点でシーズンを変えるのが一つの方法だなと考えている人が増えている。成長するための対案も含めて、面白いアイデアが出てくるのは期待しているし、自分の中でもそんな発想が出てこないか常にチャレンジしたいと思っている。いろんな話をしていくのはやっていかないといけないし、これからも話をしてきたけど、新潟に限らず、それぞれのクラブが抱えている課題はあるので、膝を突き合わせて、どうやったらもっと良くなるだろうという対話は続けていこうと思っている」と前向きに話した。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2023シーズンJリーグ特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP