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キャプテン不在もチーム一丸で自動昇格に望み…代役果たした東京Vルーキー綱島「少なからず緊張はあった」ユース先輩の栃木DF大森とマッチアップも

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東京Vはホーム最終戦で劇的勝利

[11.5 J2第41節 東京V 1-0 栃木 味スタ]

 リーグ戦残り2試合で、結果次第では自動昇格の望みが断たれる大一番で、東京ヴェルディのキャプテンMF森田晃樹は不在だった。城福浩監督は試合後の会見で、不在の理由を体調不良と明かす。代役としてピッチに立ったのは、東京Vユース出身で国士舘大を経て今季ルーキーとして帰還したMF綱島悠斗だった。

 4位の東京Vは、今節で勝利すれば自動昇格圏内の2位・清水エスパルスと勝ち点1差、3位・ジュビロ磐田と同勝ち点をキープでき、引き分け以下では自動昇格は絶望的という勝利必須の状況。リーグ戦も2試合を残す中、誰よりも昇格を望むキャプテン森田はピッチにいなかった。代役としてスタメンに名を連ねたのは、17試合ぶりに先発入りした綱島だ。

「森田晃樹のヴェルディに対する愛情は人一倍深いものがある。そういった中で、自分が森田晃樹の代わりに出るという意味では、緊張だったり、不安というのは少なからずありました」(綱島)。だがクラブへの思いは、キャプテン森田とユース同期でもある自身も一緒。「自分もヴェルディに対する愛情はすごくある。あとは自分を信じるだけ。自分のプレーを出せれば勝利につながる」と奮起を誓い、試合開始を迎えた。

 綱島はMF稲見哲行とコンビを組んでボランチでプレーをすると、前線から降りてくるFW齋藤功佑と3人で中盤を構成する。しかし、ボールを前に運びたくても栃木がボールを保持。守勢を打破するために、齋藤と位置を交換し、綱島が最前線に立つ。「自分が一個前に入って、前からプレスをかけろと言われていました」。それでも流れはなかなか変わらない。

 最前線では栃木DF大森渚生とマッチアップした。東京Vユース時代のひとつ上の先輩と対峙。「渚生くんももともとあそこのポジションではなくて、自分も一個前に出るような選手ではない。プロになってあそこでマッチアップするというのはなにかの縁。絶対に負けたくないと感じました」。一方、大森も後輩の成長に目を見張る。「大学でも対戦していて、ツナが大学ですごく伸びていたのは見ていてわかった。この舞台でそういう風にお互い成長して対戦できるのはすごく感慨深かった」と振り返っていた。

 拮抗状態が崩れたのは前半終了間際だった。東京VはDF深澤大輝が2度目の警告で退場処分となり、数的不利に陥った。

 10人で戦うことを強いられた東京Vは、再び綱島を中盤に配置する。しかし試合の流れに翻弄されながらも、綱島は冷静を貫く。「自分たちは勝つことしか考えていなかった。1人少なくなって、チームの雰囲気が悪くなるというのは絶対に勝利につながらない。割り切って自分たちのやることを整理して戦うだけと話していました」。走り切った綱島は後半35分に途中交代。すると、その直後のFKでMF中原輝が決勝ゴールを挙げた。

 勝ち点3を積み上げ、再び自動昇格圏内の2位・清水と勝ち点1差となった。同勝ち点の3位・磐田も含めて、自動昇格は他会場の結果次第になる。だがそれゆえに、考えることはシンプル。綱島は「自動昇格できる可能性は残っている」と前を向く。「自分たちは目の前の試合で勝つだけ。他力だが、やっぱり自分たちが結果を出さない限り、ほかが負けても自分たちのところに自動昇格権は来ない。まずは自分たちが集中して勝つことが大事」。最終節でも再びチーム一丸となり、大逆転の自動昇格決定を狙うつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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石川祐介
Text by 石川祐介

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