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五輪予選直前に出番到来…先発抜擢から2戦2勝のGK野澤大志ブランドン「どれだけGKが安定感をもたらせるか」

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サポーターに向けて雄叫びをあげるGK野澤大志ブランドン

[4.7 J1第7節 FC東京 2-0 鹿島 国立]

 日本代表のアジアカップ参加と期間中の左手首負傷でシーズン開幕に出遅れ、今季は満足な出番を得られていなかったFC東京GK野澤大志ブランドンが今月、貴重な試合経験を積み重ねた。16日から開幕するパリ五輪最終予選(AFC U23アジア杯)に向け、21歳のGKが試合感を会得できたことはチームにとっても朗報となった。

 野澤に出番が巡ってきたのは3月30日の前々節・川崎F戦(●0-3)。後半30分ごろにGK波多野豪が得点機会阻止による退場処分を下されたことで、途中投入で今季初出場のチャンスが訪れた。また続く前節・浦和戦(◯2-1)も波多野が出場停止のため、今季初めて先発出場。平日夜にもかかわらず5万人弱の観衆が集まった国立競技場でチームに勝利をもたらした。

 そうした活躍が評価され、波多野の出場停止が明けた今節・鹿島戦でもゴールマウスを譲らず、連続先発出場となった。迫力ある相手の攻撃をクリーンシートに封じ、チームは今季初の連勝を記録。8日からカタールで活動が始まるAFC U23アジア杯に向けて弾みをつける結果となった。

 FC東京からは直近2連戦で1ゴール2アシストと好調の続くMF松木玖生、この日は契約の関係で不出場だったが今季すでに4ゴールでブレイクしているMF荒木遼太郎とともに3人で選出。代表チームとJクラブの合意で最多3人選出という縛りが設けられているとされる中、最大勢力となっている。

 そうした中でメンバー入りを果たした野澤は「松木選手も荒木選手も良い状態で大会に行くし、チームに良い状態の選手がいると助けになる」と仲間の活躍を前向きに受け止めつつ、当の自身の活躍には「傲慢にならず謙遜して、また整理して取り組みたい」と控えめな姿勢。まずは地に足をつけ、自身のプレーに集中していくつもりだ。

 今年1月にはA代表のアジア杯を経験。出場機会こそなかったが、欧州トップレベルで日々プレーする日本代表選手たちと寝食を共にし、大きな刺激を受けた。またその大会のチームはロングボールに苦戦を強いられ、ベスト8敗退に終わるも、U23アジア杯でも相手が同様の対策を打ち出してくること必至。3か月前の経験をしっかりと活かしていこうとしている。

「大会が始まるとコンディション調整のような練習が増えていくので、コミュニケーションがどれだけ取れるかが大切になってくると思う。自分がどういったプレーをしたいか、こういう時はこうして欲しいとか、お互いが自分のイメージを明確に共有することが大切だと思う」(野澤)

「キーパーからすると、どれだけキーパーが安定感をもたらせるかが大切だと思う。タフに戦いたい。蹴り込まれて危ない!じゃなく、蹴り込まれてもやらせてるんだというタフさが必要になってくると思う」(野澤)

 そうした知見に加え、強いメンタリティーで挑んでいく構えだ。「自分のためにというより、国を背負っているので、それをふさわしい形で表現したい」。気鋭の21歳は迫る大会に向けて「どれだけうまく繋いでとか、どれだけうまくやってというよりも、結局は点を取らないといけないし、守らないといけない。ゴール前の攻防を僕は大切にしていきたい」と自身の意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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