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今季初完封のG大阪・GK木村「無失点は唯一のポジティブなこと」

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[5.19 J1第12節 横浜FM0-0G大阪 日産ス]

 後半だけで12本のシュートを浴びたガンバ大阪だが、終わってみれば今シーズンの公式戦17試合目にして初めてのゼロ封で、勝ち点1を獲得した。その立役者は、プロ入り10年目にして正GKの座を射止めた苦労人、GK木村敦志だろう。

 後半17分にPKを与えたが「もともとGKが不利なので気楽にやれた」と話す木村は、「先に動いたら逆を突かれるので、動かないことだけを考えていた」と、その場面を振り返る。「あまり知らないキーパーだったので、右に飛ぶと思った」と話した横浜FMのMF中村俊輔が、ボールを蹴る瞬間まで我慢し、ボールと同方向(中村から見て左)に飛んだ。「思ったより上に行ったので、外れるなと思った」と言う木村は、ACLの浦項戦(0-2)でのPKストップに続き、またもPKで失点を許さなかった。

 しかし、最後尾でゴールを守る木村に、チームはなかなか応えられない。その後も前線でボールは収まらず、後半は攻められ続けた。後半ロスタイムにも右サイドからFW小野裕二にクロスを上げられると、ゴール前でFW大黒将志にヘッドで合わせられる。決定的なシュートだったが、木村がしっかりとキャッチした。シュートに手応えを感じていた大黒は「普通だったら入っている。まさかキャッチされるとは思わなかった。ミラクルポジショニング」と脱帽した。

 好守を見せて完封したが、獲得できた勝ち点は1。「失点しなかったという意味では自分の仕事はできたと思いますが、勝ち切れないのが悔しい」と複雑な表情を浮かべた。

 大切なのは、無失点で90分を終えた流れを維持していくことだ。「みんな苦しいのは一緒だから、一人ひとりが頑張って変えていくこと。そうしないと今の状況を抜け出せないと思う。無失点だったことは今日の試合で唯一、ポジティブなこと。守備はこの流れに乗っていきたい」と木村は語った。

 この日の引き分けでG大阪は、リーグ戦で4試合未勝利。全体の約3分の1の日程を消化したが、16位と降格圏で苦しんでいる。今季初の無失点試合を浮上のきっかけにできるだろうか。

(取材・文 河合 拓)

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