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悔しさを噛みしめるG大阪・FW佐藤「FWが起点になれていない」

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[5.19 J1第12節 横浜FM0-0G大阪 日産ス]

 壁に直面している。ガンバ大阪のFW佐藤晃大は、0-0で終わった横浜FM戦後「相手のCBは強さと高さがあって、FWが起点になりきれなかった」と唇を噛んだ。佐藤は昨季までJ2の徳島でプレーしていた。昨季は36試合に出場し9得点を挙げ、最終節まで昇格を争ったチームの中心として活躍。また、前線でハードワークを見せ、守備でも高く貢献した。そのプレーが評価され、今季からG大阪に加入している。

 今季は初めてスタメン出場した5節・広島戦(1-4)から3試合連続でゴールを挙げたが、ここ4試合は無得点に終わっている。「最初の3点は合わせるだけでした。でも、今はそれだけでは点が取れません。J1のDFはレベルが高い。もっと良いプレーをしないといけない」と、危機感を口にした。

「最初の3点は合わせるだけでした」という言葉どおり、ここまで佐藤が挙げたゴールは、決定的なパスをゴール前で合わせて決めたものだ。しかし、この試合では決定的なパスは通らず、佐藤のシュートも1本に抑えられている。特に後半は、横浜FMに押し込まれる展開が続いた。佐藤は「FWがもっとボールをキープして基準点になれないと、後方の選手たちが上がる時間をつくれない。前ですぐにボールを取られたから、防戦一方になってしまった」と、自分の責任だと悔しがった。

 だが、FWだけのせいではないとMF遠藤保仁は言う。「自分たちの動き出しも遅かった。受け手と出し手の関係性、連動性がちょっと足りなかった。前で収まらない限りは、DFラインも押し上げられない。その辺は少しずつ工夫していけば良くなっていくと思う」と課題を挙げた。また、DF中澤聡太も「チームが離れ過ぎているというか、分裂している感じはあります。最終ラインからのクリアーやロングボールが多くなって、効果的なパスが少ない。例えばボランチからのクサビのパスも少ないし、前線に入ったときの周囲のアクションも少ない」と言い「昨年までとやろうとしているサッカーが変化しているわけではないのですが…」と首を傾げた。

 DF今野泰幸も無失点には安堵しながらも、「相手はやりやすかったと思う」と悔しさを隠さなかった。「ガンバのサッカーは低い位置でもサポートしながらボールを支配して時間をつくるという狙いがある。でも、今日は何もできずにロングボールを蹴らされた。相手を押し込んで、ボールを蹴られてもセカンドボールを拾って、また攻めるという自分たちのやりたいことをやられてしまった」。

 この試合、無失点で抑えたことポジティブな要素だ。もう一つ、プラスの面を挙げるとすれば、選手一人ひとりが同じビジョンを描きながらも、責任を他人に押し付けず、自分のやれることを広げようと考えていることだろう。

 現在のG大阪には合言葉のようなものが、ある。「中断期間まで辛抱強く、勝ち点を重ねたい」「中断期間を良い形で迎えたい」と複数の選手が口にした。連戦をこなしながら、内容を一気に向上させることは難しい。今は理想を求めるのではなく、「中断期間まで」は、結果を求める時期だと割り切りながら試合をこなしていく。本来のG大阪の姿が見られるのは、まだ先のことになりそうだ。

(取材・文 河合 拓)

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