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ルヴァン杯“U-21枠”で出番到来…J1通算出場2分も決勝T全試合先発の福岡MF森山公弥「1、2年目と比べものにならないくらい成長できた」

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アビスパ福岡MF森山公弥

[11.4 ルヴァン杯決勝 福岡 2-1 浦和 国立]

 大会独自のレギュレーションにより、U-21選手の先発出場が義務付けられているルヴァンカップ。アビスパ福岡はアカデミー出身のMF森山公弥がプライムステージ(決勝トーナメント)全試合に先発し、クラブ史上初のタイトル獲得に貢献した。

 今季でプロ3年目を迎えた森山だが、これまでのJ1リーグ戦出場は今季の第29節・鹿島戦でのわずか2分間(公式記録)のみ。なかなかトップチームで出場機会を得ることができていない中、重圧のかかるカップ戦でピッチに立ち続けた。

「1、2年目とは比べ物にならないくらいに成長できたと思うし、こうして試合に出て上のステージに行くことで自分のレベルアップにもつながるとわかった。チャンスを逃さないことが大事だと思った」。今季の福岡はU-21のプロ選手は森山のみ。大きな責任と重圧もかかる中、貴重な経験を結果につなげてみせた。

 とはいえ、一人で戦ってきたわけではなかった。森山はルヴァン杯グループステージ開幕節・新潟戦で左膝外側半月板損傷の重傷を負い、全治6か月と診断される長期離脱を経験。グループステージ残りの5試合は福岡U-18所属のMF西村活輝(3年)、FW前田一翔(2年)に出番を託していた。

「自分しかいないという中でルヴァン初戦で怪我をしてしまって、申し訳ない気持ちと、悔しい気持ちがあった。でもすぐに戻りたい気持ちがあった。その中でグループステージをユースの子たちがつないでくれた」(森山)

 そうして掴み取ったルヴァン杯タイトル。「決勝ラウンドでは自分が試合に出て、チームが勝てたこと、優勝できたことがすごく嬉しい。自分としても怪我にも意味があったのかなと感じたし、結果が出たことが嬉しかった」。そう喜びを語る森山は優勝決定後、後輩たちと粋なパフォーマンスを披露していた。

 森山は表彰式でFW城後寿や長谷部茂利監督らがカップリフトを終えた後、ベンチ外ながらもチームに帯同していた前田と共に優勝カップを掲げた。その際、前田は西村のユニフォームに身を包み、U-21枠を支えてきた連帯感を垣間見せていた。

 森山によると、これはクラブの未来に思いを寄せた振る舞いだったようだ。

「一翔だけではなく、ここまで繋いでくれたユースの子たちの代表として自分と一翔でカップを掲げようと思った。周りの選手もそうしようと言ってくれた。ユースの子たちも画面で見てくれていたと思うので、ああいう姿を見て、自分も掲げたいなと思ってくれれば嬉しいし、ここからユースの子たちも頑張ってほしいと思う」(森山)

 福岡のアカデミーといえば、この日の試合後にはアーセナルでプレーするDF冨安健洋も祝福のコメントを寄せていた。森山は「僕もユース出身者として冨安くんの背中をずっと見ている。アビスパの結果を喜んでくれるのは自分にとっても、ユースの子にとっても、ジュニアユースの子にとっても絶対に力になる。自分もそうやって大きな背中になれるように頑張りたい」と決意を新たにしていた。

 もっともそんな森山にとって、ルヴァン杯の出場機会は通過点に過ぎない。

 プライムステージでは全試合に先発したものの、決勝を含めた4試合は前半限りでの途中交代。クラブを背負っていくためにはより信頼を掴み取り、プレータイムを伸ばしていくことが求められる。森山は「今回はU-21枠で出させてもらっていた部分がある」と現実を受け止めつつ、「自分の力を示すためにもリーグ戦に関わらないといけない。リーグ戦を目指してまた頑張りたい」とJ1でのレギュラー争いに闘志を燃やした。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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