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圧倒的強さでJクラブをなぎ倒す“街クラブ”FC LAVIDA、4戦15発の勢いで高円宮杯U-15初制覇に王手

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先制点を挙げたFW中村公亮(3年)

[12.25 高円宮杯U-15準決勝 FC LAVIDA 4-1 鹿島つくばJY 味フィ西]

 2012年創設の“街クラブ”が大きな注目を集めている。高円宮杯JFA第33回全日本U-15サッカー選手権は25日に準決勝を開催。FC LAVIDA鹿島アントラーズつくばジュニアユースに4-1で勝利し、初優勝に王手をかけた。

 FC LAVIDAは、技巧派集団として名を馳せる昌平高の育成組織として、同じグラウンドで練習を重ねる。FC LAVIDAから昌平を経たJリーガーには、アルビレックス新潟のFW小見洋太を始め、来季からはMF平原隆暉(高3年/北九州内定)、MF井野文太(高3年/北九州内定)、CB八木大翔(高3年/福島内定)もプロ入りが内定。育成組織として注目浴びるFC LAVIDAが、高円宮杯U-15で躍進を見せている。

 1回戦・G大阪門真JY戦(○3-1)、2回戦・岡山U-15戦(○3-0)、準々決勝・徳島JY戦(○5-0)を快勝で勝ち進み、昨年の成績を越えるベスト4進出。準決勝では、昨年準優勝の鹿島つくばJYと相まみえた。

 FC LAVIDAの村松明人監督は「ちょっと堅かったですね、立ち上がりは」と語るように、鹿島つくばJYのロングボール策に苦しみながら、試合は進む。

 先発の2列目は左からMF本田健晋(3年)、MF山口豪太(2年)、MF長璃喜(2年)。指揮官は2年生コンビを「特別というか、あの子たちにしかできないものがある。貴重な選手」と評価しつつ、この試合では本田の調子に目を向ける。前半途中には2列目を、左から長、本田、山口に変更。「本田のほうがゲームを進めていたように感じるので、本田を真ん中に置いて、プレスが緩いサイドに山口を回した」。ここから徐々にFC LAVIDAが優勢となる。

 前半38分に待望の先制点。FC LAVIDAは本田がPA左の深い位置まで入り込み、折り返しをFW中村公亮(3年)がダイレクトで沈める。「(本田くんから)絶対に上がってくると信じていた。ボールが来るのを待って、来たら当てるだけだった」(中村)。何度も練習を重ねた形が、大一番で結実した。

 前半を1-0で折り返すと、FC LAVIDAは後半10分に2枚替え。長と中村に代え、FW鄭志錫(3年)とDF西村虎太朗(3年)を投入。2列目は本田、鄭、山口、1トップは西村となる。この交代策が的中する。

 FC LAVIDAは後半20分の左CKから、鄭が決め切り、2-0と点差を広げる。同27分には2年生アタッカー・山口が魅せる。PA右から綺麗な放物線を描く左足シュートを決め、3点差とした。さらに、32分には西村がダメ押しの4点目。連続得点で、勝利を手繰り寄せた。

 終了間際に失点を喫したものの、そのまま逃げ切り、FC LAVIDAが4-1で快勝。2度目の出場で初の決勝進出となった。Jクラブのジュニアユースではないチームが決勝に駒を進めるのは、2001年の東海大一以来。優勝すれば、1997年の三菱養和サッカースクール以来の快挙となる。

 創立当初は対Jクラブを意識していたという村松監督。「最初作ったときは、Jを倒すという意識はすごく強かった。倒すために、日本一を取るために、Jにはないような感じのサッカーに切り替えた部分はある。もともとはパスが多めのサッカーをやっていたんですけど、それだとちょっと違うなと」。より積極的に仕掛けることを意識したチーム作りに転換した。

 ただ、仕掛けるだけではなく「そういう選手がしっかり守備の理解をする、ゲームの展開を読む」こともトレーニングで鍛えている。「予測の部分、切り替えの部分、すべてが自然になってきている。攻撃とか守備というよりも、どっちもあるようなトレーニングを積み重ねてきている。あくまで自然体で、奪われそうなところを予測するとか、仕掛けている選手、ボールを持っている選手よりも、周りの選手がそういう感覚を身に着けてほしいなっていう感じでやっています」。

 優勝に王手をかけたチームだが、指揮官は「新チームに切り替わったときには、ここまで来れるようではなかった。よくここまで来れた」とその成長に目を細める。今季の関東1部リーグでは全勝優勝を決め、連覇達成。全国の舞台でその名を知らしめるべく、27日の決勝で王者・鳥栖U-15に挑む。

(取材・文 石川祐介)
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