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[国体少年男子]1年前はPK失敗で予選敗退。試練を乗り越えた強力FW徳田誉、全国決勝でPKを決めて茨城県を日本一へ導く

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前半7分、茨城県のU-17日本代表FW徳田誉(鹿島ユース、2年)がPKを決め、先制ゴール

[10.16 国体少年男子決勝 茨城県 2-0 大阪府 OSAKO YUYA stadium]

 U-17日本代表の強力ストライカーが、試練を乗り越えた。前半7分、茨城県はFW正木裕翔(鹿島ユース、1年)がPKを獲得。U-17日本代表FW徳田誉(鹿島ユース、2年)がペナルティスポットへ向かうと、右足シュートを左隅に突き刺した。

 チームメートを笑顔にする先制ゴール。徳田は「決勝で多少みんな緊張していた部分があったと思うんですけれども、自分はある程度平常心でプレーできている部分があって、あのPKも冷静に蹴れたので、そこは1年間で成長した部分かなと自分の中で思います」と微笑んだ。

 茨城県のエースストライカーは今大会1、2回戦で計6得点。185cm、82kgというプロ並みの肉体と、DFを外す動きの巧さ、圧倒的なヘッド、献身性でも存在感を放っていたが、準々決勝、準決勝は厳しいマークの中で得点を奪うことができなかった。

 日本一を懸けた決勝で訪れたPKのチャンス。徳田と国体のPKには特別なめぐり合わせがあった。徳田は昨年の関東ブロック予選に出場し、千葉県との代表決定戦で2試合連続のゴール。だが、PK戦で徳田が止められ、チームは全国大会出場を逃している。

 今大会は徳島県との準々決勝でPK戦に。昨年を知る左SB佐藤海宏主将(鹿島ユース、2年)は徳田が5人目のキッカーとして蹴る前から、「ここで来たかと」1年前を思い出して涙が溢れ出ていたという。そのPKを決めて勝利へ導いていた徳田は、決勝でも決めて成長を示した。

「去年も絶対に忘れられないくらい悔しくて、『あれを取り返したい』という気持ちでやれたので、最後は自分を信じて、コースに蹴られたと思います。(去年の失敗から)色々な人に『その分を取り返して来い』と言われていましたし、自分も凄くそこは責任を感じている部分があって、今年もそういう苦しいゲームもありましたし、決勝もああいう形でPKになったので。ここは思い切って去年の分を取り戻そうと思って決めました」

 この日は先制後の前半16分にも左中間からDFを巧みに外して右ポスト直撃の右足シュート。その後も頭でゴールを狙うなど両チームトップタイのシュート7本を放った。早生まれの2年生FWは、怪我明けでコンディション面の不安もあったはずだが、5連戦の5試合目でも格の違いを見せるような動き。そのFWは仲間たちに感謝する。

「試合通してみんな100パーセントを出して頑張ってくれましたし、自分としても凄く戦う気持ちをみんな見せてくれたのでやんなきゃな、と思いましたし、オレと(佐藤)海宏が引っ張ってみんなが付いてきてくれた結果で、プレーで示してくれて嬉しいです」

 中止になった2年前を含めて3度目の挑戦で悲願の国体日本一。茨城県にとって49年ぶりの優勝でその歴史も変えた。「3回目で自分としても今年に懸ける気持ちが強くて、みんなそうだと思うんですけれども、『今大会を茨城の大会にしたい』『自分の大会にしたい』と思っていたので、こういう形で結果としてみんながやってきたことが報われたというのは感慨深いです。実感が湧かない部分もありますけれども、凄く嬉しいです」。優勝後、ともに早生まれの2年生としてチームを引っ張った佐藤の涙を見て、徳田の目も赤く染まっていた。

 優勝直後、茨城県の関係者からはこれからのことを求められていた。「この大会の優勝は目標にしていた部分でそれを達成できたのは凄く嬉しいですけれども、これから世界に羽ばたいていく舞台はたくさんあって、自分が結果を残せる選手になっていきたいですし、いずれはA代表のピッチに立てるようにと意識してやっているので、ここを一つのステップにして、チームで言ったらプレミア(リーグ)に上がることだったり、今年のうちにできることをしっかりとやって、この先に繋げていきたいなと思っています」。この日、チャンスがありながら2点目を決められなかったことも確か。鹿島ユース、年代別日本代表での活躍も期待される大器が、国体優勝をきっかけにより大きく羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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