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J加入内定者多数擁する中京大が高い質のビルドアップ見せ、鹿屋体育大に完勝

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中京大が4得点を奪って快勝した

[9.3 総理大臣杯2回戦 中京大 4-1 鹿屋体育大 松島フットボールセンター]

 第47回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは3日、2回戦8試合が宮城県・岩手県の各会場にて行われた。松島会場第1試合は中京大(東海1)が鹿屋体育大(九州2)に4-1で勝利し、3回戦の富士大(東北2)戦に駒を進めた。

 立ち上がりは互角の戦いで、鹿屋体育大は長身のFW加藤大晟(3年=浜松開誠館高)や体を張れるFW片山颯人(2年=米子北高)にボールを入れて決定機をつくり出す。しかし、中京大は徐々に質の高いビルドアップで相手陣内に襲いかかる時間帯を増やし始める。そして前半39分FW碓井聖生(4年=富山一高/富山内定)が左サイド深くに侵入し、後方のMF武藤寛(2年=市立船橋高)にパス。「ペナルティエリア内では脚を振れ、と言われてきました。落としてもらって、振ったら枠に行きました」と振り返った武藤のシュートがゴールに突き刺さり、中京大が先制に成功した。

 1-0で折り返した後半も中京大の勢いは止まらなかった。後半3分中盤でボールを受けた武藤は右サイドからペナルティエリア内に進入。「中(にパス)という選択肢もありましたが、GKが動きかけたのが見えたので、自分で(脚を)振りました」と角度の無いところからのシュートが決まって、リードを2点に広げる。

 追いつきたい鹿屋体育大は後半18分、MF渡辺怜歩(3年=静岡学園高)からクロスを受けた途中出場のMF廣田勇心(3年=熊本ユース)がヘディングシュートを決めて1点差に詰め寄る。しかし中京大は直後の後半21分途中出場のU-22日本代表MF藤井皓也(4年=静岡学園高/熊本内定)のクロスに、碓井が左足で合わせる。「一番仲の良い皓也が入ってきてくれて、お互い分かり合っているので、走れば絶対つけてくれると思いました。足に当てるだけでしたね」と息の合ったコンビネーションで鹿屋体育大を突き放した。

 後半37分にはMF荒井貫太(2年=神戸U-18)のコーナーキックから途中出場のMF小酒井新大(4年=草津東高/大分内定)がニアサイドでヘディングシュートを決めてダメ押し。4-1で中京大が完勝した。

 J加入内定選手の何人かは途中出場もしくはベンチにいて出場していなかったが、中京大のビルドアップの質は高く、多くの決定機をつくり出していた。また、特筆すべきは1トップの碓井とトップ下の武藤らによる前からのプレスが非常に効いていて、同じくビルドアップを得意とする鹿屋体育大のミスを誘った。

 碓井は「相手の左センターバックが左足を苦手にしていたので、そこを狙おうとしました」とプレスが効いた理由を語る。今後に向けても「全体としては(失点)0で抑えて、得点をなるべく取って勝つこと。個人としては今日1ゴール取ったので、2ゴール以上取りたいです」と語る。

 また2得点の武藤も「自分たちも疲労が溜まった状態で次の戦いを迎えますが、自分たちのやりたいサッカーは変えず、中京らしいサッカーでもっと上に行けるようにしたいですし、(個人としては)また点を取って、チームの勝利に貢献できるように頑張りたいです」と日頃積み上げてきた成果を出そうと意気込んだ。

 一方の鹿屋体育大だが、1回戦に続いてこの日もMF吉田真那斗(4年=浜松開誠館高/横浜FM内定)が欠場。丁寧なビルドアップから決定機をつくり出した場面もあったが、ミスもあった。塩川勝行監督は「一つ一つの強度が相手の方が上でした。内容はそこまで遜色は無かったのですが、球際の守備強度が一枚上手で、それが勝負につながりました」と振り返った。

 またキャプテンDF片桐羽馬人(4年=熊本ユース)は「中京は強かったです。前半やりたいことがやれていましたが、向こうがそれを質高くやってきて、それが差になりました。ビルドアップの質を上げようとトレーニングしてきましたが、うまく前に入らず攻めあぐみました」と高めてきた部分で中京大に上回られた悔しさを語るも、「インカレに向けてトレーニングして全国優勝したい」と、強度やビルドアップの質をさらに高めて、再び全国の舞台に向けて挑戦することを誓った。 

(取材・文 小林健志)
●第47回総理大臣杯特集

小林健志
Text by 小林健志

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