[4.27 全国自衛隊大会準決勝 航空自衛隊入間基地第3補給処2-0海上自衛隊下総・館山基地]

　大胆な戦術変更がズバリとハマった。第47回全国自衛隊サッカー大会は27日に陸上自衛隊朝霞駐屯地の自衛隊体育学校サッカー・ラグビー場で準決勝を行い、第2試合では航空自衛隊入間基地第3補給処が2-0で海上自衛隊下総・館山基地を下して決勝進出を決めた。

　前回準優勝の空自3補は、自衛隊大会では異色のポゼッションサッカーを展開する。準々決勝では、後方と中盤でワンタッチやツータッチのパスをテンポよく回し、試合のペースを握りながら好機を狙って効率よく勝利を収めた。しかし、準決勝では試合開始からハイプレスとショートカウンターで勝負をかけ、一気呵成に攻め立てた。関東サッカーリーグ2部の大成シティFC坂戸でも選手兼監督を務めている熊谷哲平2曹(大東文化大学出身)は「準々決勝の相手の試合を見て、3バックからダブルボランチにつないで組み立ててくるのが分かった。少し格好は良くなかったけど、勝ちに行った」と戦術変更の理由を説明。狙い通り、立ち上がりの10分は敵陣に押し込んで次々に好機を作りだした。11分、右サイドからゴール前へロングパスを放り込むと、競り合いのこぼれ球を拾ったFW真木基希1士(米子北高校出身)が思いきりよく右足をスイング。鮮やかな弾道がゴールネットを揺らした。さらに15分、今度は左サイドからのサイドチェンジをヘディングで折り返し、最後は春本充3曹(狭山清陵高校出身)が左足で追加点をたたき込んだ。

　出鼻をくじかれた海自下総は、後半に選手交代を行って反撃に出た。後半11分、中盤でセカンドボールを拾うと、ボランチの栗岡大3曹(鹿屋体育大学出身)がミドルシュートを狙うが、クロスバーを越えた。後半16分には右ハイサイドからの横パスをシャドーストライカーの後藤隆志3曹(桐蔭横浜大学出身)が狙ったが、シュートはゴールの左に外れた。後半27分、左CKのこぼれ球を途中出場の堀内啓貴1士が狙った場面もゴールを捉えることはできなかった。今大会で最も迫力のあるサイド攻撃で十分に見せ場を作ったが、空自3補にカウンターで脅かされる場面もあり、逆襲のきっかけをつかみきれなかった。試合は2-0のままタイムアップ。前回準優勝の空自3補が決勝の切符をつかんだ。

　空自3補は自衛隊内のサッカーチームでは歴史もある強豪だが、この大会では前回大会を含めて5回の準優勝があるものの、優勝には手が届いていない。過去に所属した歴代選手にとっても悲願のタイトル奪取に向け、熊谷監督は「何百人もがチャレンジして成し遂げられず、私自身も優勝したらこのチームを引退しようと思いながら、8年目を迎えた。もう、このチャンスしかないと思っている」と言葉に気合いを込めた。

[写真]前半15分、空自3補は春本3曹が2点目のゴール

(取材・文　平野貴也)