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[全国自衛隊サッカー大会MOM]空自3補FW小木曽真悟士長_強烈プレスで決勝弾!西が丘で“歓喜のフライト”

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[4.28 全国自衛隊大会決勝 海自厚木ANFC1-3空自3補 西が丘]

 空自3補の猛犬が、文字通りにゴールを奪い取った。先制点を奪ってから4分後の前半11分、相手GKが足下でボールを処理すると、航空自衛隊入間基地第3補給処のFW小木曽真悟士長が猛スピードで襲い掛かった。右前方にいた相手がボールを見るために視線を落とすと、ぐんと真っ直ぐ前に飛び出した。一直線ではなく、相手の視界から一度外れて斜めの動きでボールへ迫ったことが奏功した。相手GKの判断よりも一瞬早く、その足元に到達した。ボールを蹴り出す相手の左足の前に、右足をぐいと伸ばしてパスをブロック。ボールを奪った勢いそのままに「ゴールがあるはず」の方向へ迷わずシュートを放った。ネットを揺らした一発は、貴重な追加点となった。空自らしく、ゴールパフォーマンスは飛行機ポーズ。反対サイドの味方ベンチ前まで心地よいフライトを満喫した。

 大会を通して、強烈なハイプレスが効いていた。豊富な走力と球際での容赦ないプレーは、決勝で得点を生んだだけでなく、持ち味であるポゼッションを展開できない試合における、チームのがまん強さを作り出していた。決勝戦で先制点を挙げたCB山本雄也士長は「犬のようにボールを追いかける人。前から追いかけてくれるので、守備で落ち着ける。ああいう人がいてくれて良かったなと思える存在」と、その貢献度を惜しみなく評価した。

 小木曽士長は武蔵越生高校を卒業後、大学に通いながら飯能ブルーダーに籍を置いた。飯能市1部、埼玉県3部を経験し、トップチームに昇格。チーム名をACアルマレッザ飯能と改称した現在も所属しており、関東2部を主戦場としている。自衛隊入隊前から変わらぬプレースタイルを当時から確立してきた。余すところなく特徴を発揮した試合について「自分の役目は、ボールがないところでのプレスが一番。僕は下手くそなので、ボールを持っていても仕方がない。それ以外のところで追って、相手のパスコースを制限して後ろで取ってもらう。それが自分の持ち味だと思っているので、隙があったら行こうと思っていた。GKが少し大きめのタッチで持ち出したので、狙った。シュートは、勢いのまま思い切り打ったら入っただけ。おまけみたいなもの。みんなで優勝を勝ち取れて嬉しい」と笑顔で振り返った。

 普段はクラブチームに所属しているが、空自3補の新たな歴史を築く決意は胸にある。小木曽士長は「プレッシャーを感じていなかったと言ったらウソになるけど、やるべきことは浸透していたし、一戦一戦、力を出し切れば勝てる自信はあった。出し切った結果が優勝につながったと思っている。昨年は悔し涙だったけど、今年は笛が鳴った瞬間に自然と嬉し涙が流れた。今後はプレーも精神面も引っ張っていける存在になりたい」と今後の主軸を担う自負をのぞかせた。念願のタイトルを手に入れた空自3補が新たな時代を築いていくには、ピッチ内外でチームをけん引し、雰囲気を作れる選手が欠かせない。チームメートの藤田雄介3曹から「多分、今頃はもう祝勝会のことしか考えないと思いますよ」と茶化される明るいムードメーカーなら適任かもしれない。

(取材・文 平野貴也)

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