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J2・J3へのVAR導入を後押しか…新システムに対応、2023-24競技規則の改正点②

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VARに関する規定が変更

 国際サッカー評議会(IFAB)は23日、2023-24シーズンの競技規則改正内容を発表した。7月以降、世界中の公式戦で順次適用される(Jリーグの適用開始日は後日発表)。

 W杯では2018年のロシア大会から導入され、日本でもJ1リーグ全試合などに使われているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)に関する規定が変更された。

■VARの運用条件に変更

 これまで、VARシステムを試合で用いる場合にはVAR、VARを補助するアシスタントVAR(AVAR)の他にリプレー・オペレーターと呼ばれるスタッフが必要だった。リプレー・オペレーターはVARとAVARに向けて最適な映像を選択したり、主審が映像を確認するオンフィールド・レビュー時に主審やVARなどが求めるスピードに応じた映像をモニターに映したりと、重要な役割を担っている。なお、リプレー・オペレーターは各リーグの審判員ではなく機械の運用に詳しい専門スタッフが担当している。
 
 IFABはVARの実施手順で示す必要な人員に関して修正を実施。リプレー・オペレーターをVAR運用時の必須人員から削除した。リプレー・オペレーターを欠くとスムーズな映像の確認が困難になったり、重要なシーンを適切な映像で確認できなかったりする恐れがある。したがって今後もリプレー・オペレーターは重要な存在として、VARの運用に携わるだろう。

 では、なぜ変更が行われたのか。IFABは「リプレー・オペレーターが関わらないVARライトを反映」と説明している。

■VAR新時代へ

 IFABが記載したVARライトとは、現在国際サッカー連盟(FIFA)が正式導入に向けてテストを重ねているVARの新たな制度だ。現在のVARは複数の映像と高性能の機材によって、ピッチ上の審判員が見極めることの難しい事象をサポートすることが可能。一方で相応のコストが必要となっており、経済的に劣る国や各国の下部リーグに導入することが難しいことが課題である。日本でもJ2とJ3にVARは導入されていない。

 この課題の解消策がVARライトだ。このシステムも映像によって審判員の判定をサポートするものだが、あらゆる点でコストを抑える工夫がされている。アジアサッカー連盟(AFC)が21年のAFC女子クラブチャンピオンシップで試験導入した際には、カメラ台数が一般的なVARと比べて少なかったり、主審が映像を確認するモニターがタブレット状の機材になったりと簡略化されていた。

 FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は今月16日の総会で「VARは100か国以上で導入されている。VARの導入予算が足りない人々に向けてVARライトを導入するつもりだ」とコメントし、今回の競技規則改正で導入に向けた修正が行われたことから近いうちの正式導入が期待される。

■J2・J3にもVAR導入なるか

 VARライトが導入された場合、J2・J3にもビデオ判定制度がもたらされる可能性がある。Jリーグの野々村芳和チェアマンは2月16日にJリーグ公式YouTubeチャンネルで公開された『ののチャンネル』で「オペレーターは人材がまだ足りていない」とコメントし、同リーグ競技運営部のスタッフは「審判の会話がすぐ理解できる方でないと(いけない)。技術だけではなくてサッカーの理解がないと難しいです」と解説。「世界的に人数が足りていない」とした上で、コスト面の問題を解消してもリプレイ・オペレーター不足の現状ではJ2・J3にVARを導入することは難しいとの見解を伝えていた。

 VARライトはリプレー・オペレーターを必要としないため、Jリーグの懸念を解消する一手になり得る。また、インファンティーノ会長はカメラ1台でのビデオ判定を可能とする新システムの構想も明らかにしており、将来的にはより手軽にビデオ判定を行うことが可能となる見通し。IFABやFIFAがVARライトを本格導入する具体的な時期は未定だが、J2やJ3への導入に向けて一歩近づく改正となった。

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