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課題改善し続けて目標の日本一へ。昨年全国準Vの流経大柏は千葉敬愛に苦しむも、初戦突破:千葉

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流通経済大柏高が1-0で競り勝った

[6.10全国高校総体千葉県予選決勝T1回戦 千葉敬愛高 0-1 流通経済大柏高 流通経済大柏高G]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技千葉県予選決勝トーナメント1回戦で昨年の全国準優勝校・流通経済大柏高が登場。千葉敬愛高に苦戦しながらも、MF鬼京大翔(3年)の決勝点によって1-0で勝った。流経大柏は11日の準々決勝で専修大松戸高と戦う。

 流経大柏の本田裕一郎監督は「前半は敬愛が良かった」と素直に認めていた。コンパクトな陣形を保ち、球際で強度のある守備を見せていた千葉敬愛は、特に流経大柏のキーマン・MF菊地泰智(3年)に高い位置で自由を与えず。1タッチパスで剥がされ、決定的なパスを通されるシーンはあったものの、“危険人物”にシュートまで持ち込ませなかった。初戦直前の練習でMF宮本優太主将(3年)が捻挫し、16年U-16日本代表CB関川郁万(2年)も怪我で先発を外れた流経大柏は苦戦を強いられてしまう。
 
 その中でも流経大柏は、トップ下の位置でポイントとなっていた16年U-16日本代表MF熊澤和希(2年)や鬼京がドリブルで打開するようなシーンもあったが、得点にはつながらない。逆に1タッチのパスで相手のプレスを剥がすなど強豪に食い下がる千葉敬愛は、29分にFW本吉宏次朗(3年)が決定的なヘディングシュート。これはGK薄井覇斗(3年)のファインセーブに阻まれたものの、MF増田慎太郎(3年)のキープ力やともにスピードのある右SB立山直生と左SB阿部航大(ともに3年)の攻め上がりもアクセントに攻め返していた。

 流経大柏は後半開始から本田監督が「素材はピカイチだと思う」と期待し続けているFW近藤潤(3年)を投入。後半10分には練習でCBを務めてきたという近藤が右サイドからゴール方向へドリブル突破して左の鬼京へボールを預ける。そして、わずかに持ち出した鬼京が鮮やかな右足コントロールショットを決めて先制した。

 対する千葉敬愛は17分、本吉のポストプレーから右サイドの立山が独走。一気にゴール方向へ持ち上がってニア上へ右足シュートを打ち込んだ。だが、GK薄井が触ってCKに。流経大柏も右SB三本木達哉(3年)の攻撃参加などから近藤らがチャンスを迎えるが決めきることができない。

 突き放すことができなかった流経大柏に対し、諦めない千葉敬愛は終盤、立て続けに決定的なクロスが入る。だが、相手CB瀬戸山俊(3年)の好守にあうなど、いずれもチャンスを活かすことができず。1点リードを守った流経大柏が準々決勝進出を決めた。

 本田監督は「(千葉県内全体の)レベルが上ってきていることは良いこと」と口にする一方で、自チームのミスも多かった試合について「速いプレーの中で正確に繋げるようにしなければいけない」と指摘する。

 加えて指揮官は今年の流経大柏の声の少なさを不安視する。「上手くいかなくなると声が出ない。コミュニケーションが取れない」。走りの練習で下を向いてしまうこともあったというチームは、この試合でも自分たちのミスで雰囲気を落としている時間帯があった。菊地も「上手く行かない時に下を向いて人のせいにしていると言われている。走りの練習とかでも変えていこうと言っていて、『やろう』となってきた。(それでも)指摘を謙虚に受け止めていかないといけない。そうしないと、どこかでボロが出てしまう。本気の技術や元気にしていかないと」と引き締めていたが、メンタル面は改善するポイントの一つになっている。

 今年の3年生は1年時にRookie Leagueで無敗Vを達成するなど強さを見せた一方で経験値が少ない部分もある。宮本は「プリンス(リーグ関東)の時にはなかった危機感を持ってやるようになってきている」と語っていたが、それでもこの日は緊張もあってか、上手くいかない部分が多かった。相手をねじ伏せるような勝利をすることはできなかったものの、それでもまずは勝ち続けていくことが大事。幸い関川も、宮本も今大会中に復帰する模様だ。日本一を目標に掲げるチームはアクシデントが起こっても動じない精神的な強さを身に付け、それを発揮して、まずは激戦区・千葉予選を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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