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先発9人が地元の公立中学校出身。県立さくら清修が王者・矢板中央相手に健闘

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さくら清修高は王者相手に健闘した

[6.14 インターハイ栃木県予選準決勝 矢板中央高 3-0 さくら清修高 栃木グ]

 先発11人中、9人が地元の公立中学校出身。60人の部員がクレーのハーフコートでトレーニングしているという公立校、さくら清修高が挑戦心を持って王者との一戦に臨み、食い下がった。

 準々決勝で名門・真岡高に1-0で勝利。ヴェルフェ矢板(栃木県社会人1部リーグ)所属の現役プレーヤーでもある齋藤竜偉監督は、4連覇を狙う矢板中央高との準決勝へ向けた最初のトレーニングで「多分、下馬評では矢板中央が勝ってインターハイに行くだろうとどの人も思っているのを覆したい」という思いを選手に伝えたのだという。

 栃木県内で勝ち続けている矢板中央を自分たちが止める。その思いに共感した選手たちが、立ち上がりからアグレッシブな戦いを演じて見せた。矢板中央は立ち上がりからロングボール、クロス、そしてロングスローと迫力ある攻撃。だが、さくら清修は169cmGK小森寛人(3年)が勇気を持って飛び出してボールに触り、DF陣がテーマのセカンドボールにいち早く反応。こぼれ球の得点率が高い矢板中央の攻撃を凌ぎながら、自分たちも攻め返して見せた。

「中盤の3枚の選手が拾ってそこからボールを握って行こう」(齋藤)というように、MF落合大翔主将(3年)を中心に細かくボールを動かし、サイドの狭い局面を打開。そして、左SB大貫遙久(3年)が1度2度とクロスへ持ち込んだ。

 だが、矢板中央の圧力に押し込まれる時間が増えてしまう。相手の速攻をCB君島玲央(3年)がスライディングタックルで食い止め、矢板中央グラウンドを本拠地とする矢板SC出身のCB伊藤圭汰(3年)が高さで健闘していたが、35分にセカンドボールを繋がれて失点。後半10分にもロングスローから2点目を失った。

 直後にMF長澤大輝(3年)が連続シュートへ持ち込んだが、シュートは計3本で0-3。「前半シュートゼロ、後半3本じゃ点を取りにくい」と話す齋藤監督は、強敵相手でも低い位置からボールを繋ぐ力や、セカンドボールを拾った後の2次攻撃の精度向上を課題に挙げていた。

 06年に氏家高と喜連川高が統合して誕生したさくら清修は、齋藤監督就任1年目の17年関東大会予選で初優勝。インターハイ予選での4強入りは今回が初めてだという。今年は関東大会予選、インターハイ予選で続けて4強。「マジメで、ひたむきに頑張ってくれる子が多い」(齋藤監督)という世代が、県内で存在感を示している。この日、大きな経験をした選手たちが、王者への再挑戦へ向けてまた力を磨く。

(取材・文 吉田太郎)
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