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[MOM3913]鹿島学園MF林結人(3年)_違い示した10番。流れ変える先制点、2アシスト、改善中の守備でも光る

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前半25分、鹿島学園高MF林結人が右足で先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.15 インターハイ茨城県予選準決勝 鹿島学園高 6-1 水戸啓明高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 注目エースが拮抗した展開を一変させた。鹿島学園高は前半25分、MF林結人(3年=1FC川越水上公園出身)が鮮やかな先制ゴール。右サイドやや後方のSH櫻井稜(3年)からパスを受けると、そのまま左足で打つと見せかけて切り返す。一発のフェイントでDF2人のマークを外した10番は、右前方へ持ち出してから右足シュートをゴールに叩き込んだ。

「(鈴木雅人)監督にも最初に『ゴール前はキックフェイントで騙して』という話で。『絶対に飛び込んで来るから』と言われた通りできた」。この日、左サイドで先発した林は立ち上がりからドリブルが止まらず。その一方でチームは前線でボールが収まらず、流れが悪かった。だが、林をFWへ移してからは攻守にリズム。そして、エースは個でゴールを奪い取って見せた。

 主将の右SB上原悠平(3年)も「林が自分たちを勇気づける1点を獲ってくれた」と感謝した先制点。この日、林はミスが増えてしまっていたことを反省する。一方で、後方からの浮き球をピタリと止めて会場を沸かせ、意識してきたというゴール前でのドリブルやラストパスで違いを生み出していた。

 後半22分、右中間でワンツーのリターンを受けると、狭いゴールライン際へ強引に潜り込んでFW玉川颯太(3年)のヘディング弾をアシスト。さらに29分にも、右サイドからのピンポイントのラストパスで再び玉川のゴールをアシストした。

 175cm、67kgと特別なサイズは無いが、ストライドの大きなフォームでドリブルやスプリント。抜群のテクニックと一瞬のスピードを兼ね備える林は、課題とされてきた守備面でも健闘し、インターセプトで3点目の起点となった。
 
「去年の前育(前橋育英高、選手権3回)戦で攻守の切り替えのスピードが自分たちと全然違っていて、圧倒されちゃったので、それを基準にしないとベスト16の壁は超えれないと言われていた」。林は意識して課題の守備に取り組み、「攻撃で結果を残さないと出れない」と必ず結果を残すことにこだわっている。

 今年はプリンスリーグ関東1部で鹿島ユースや昌平高からゴール。昌平戦ではDFを翻弄する形でアシストも記録している。鈴木監督によると、練習での空気感はOBの日本代表FW上田綺世の高校時代と類似。「本当に上手いです。(今日の試合で言うと)決めたところと、時間ができてタメができるところは一瞬でいくつかの選択肢ができるのでそれは良いと思いますね」。指揮官は意図的にチームのスピードを上げ下げするなどゲームをコントロールできる力、判断力の高さも推す。

 昨年、林はインターハイ初戦敗退も攻撃力を発揮して1アシスト。選手権では前橋育英戦で同点ゴールを決めている。U-17高校選抜クラスの実力を十分に備えていたが、選出されなかった。上のステージへ行くためには、明らかに目立つような結果が必要と実感。だからこそ、林は「チームがもう1つ2つ上行かないと見てもらえないというのがあるし、チームを勝たせられるくらいの選手になっていなかったので。そこは(今年、)全国でも通用するくらい、個人としても結果を残せれば良いと思います」と意気込んでいる。

 そのためにも、まずは明秀日立高との決勝で必ず勝つこと。「決勝で去年2得点1アシストできたので、今年の決勝でも点も獲りたいですけれども、チームとしてまずは全国に出ることが目標なので、自分のプレーだけじゃなくて仲間のために走ったり、守備をしたい」。今年、大ブレイクする可能性を秘める技巧派アタッカーが、チームのために走り、ゴールを決める。


(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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