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桐蔭学園は勝負どころで力出せずに逆転負け。「一歩ずつ」積み重ねて自分たちのステージを上げる

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桐蔭学園高は前半18分にFW山形真之の右足シュートで先制したが……

[6.18 インターハイ神奈川県予選準決勝 桐蔭学園高 1-2 湘南工科大附高]

 桐蔭学園高の八城修監督は、強豪・桐蔭横浜大の総監督を兼任している。04年に桐蔭横浜大コーチから監督へ昇格。当時神奈川県大学1部リーグに所属していたチームは一つ一つ積み重ね、今や関東大学1部リーグや全国大会で優勝争いを演じ、4年連続で川崎F内定者を出すなど多くの名手をプロの世界へ送り出している。

 躍進の礎を築いた八城監督は、18年から母校・桐蔭学園を指揮。大学生も指導する指揮官は、高校生の卒業後を見据え、大学サッカー、その先のステージで戦う術として技術、判断力を高いレベルで求めてきた。年々質は高まり、今年はプリンスリーグ関東2部へ昇格。毎試合のように主導権を握って攻め続けているというが、1勝2分2敗という成績に「勝負どころで力を出せない」と指摘する。

 この日も勝負どころで力を出せなかった。勝てば全国大会出場が決まる大一番。前半18分にFW山形真之(3年)のゴールで先制したものの、「賢い、良い選手だなというところが少なかった。残念でした」(八城監督)という内容となった。

 指揮官が「気持ちのところでは良いチーム」と認める世代は、全国への強い思いも見せて後半残り20分は押し込んで左SB安藤優志(3年)やCB飯島大地(3年)を中心にゴールへ迫り続けていた。

 だが、その時間帯を含めて明らかな差を生み出すことはできず、集中力を欠いたような2失点。八城監督は「体力面ではだいぶ良くなってきていると思うけれど、技術・判断で相手をもっと上回れるはずなのにできない。できないからこういうゲームになってしまう。技術とか判断に自信を持っていないからできない。力不足しか無いですね」と語っていた。

 選手が大きく成長する上で大舞台の経験は大きいのだという。2年前の選手権出場時は大会までに「すごく成長した」。だからこそ、11年以来のインターハイ出場まであと1勝に迫っていた今大会は「発展途上のチームだからこそ掴む」ことにこだわってきた。

 是が非でも予選を突破して全国大会までの期間や、大会中に成長する機会にしたかった。だが、悔しい敗退。名門復活、日本一を目指す桐蔭学園は「(桐蔭横浜大が積み重ねたように)一歩ずつやるしかない。ここから自分たちがどれくらい努力できるか」(八城監督)。目の前の1試合1試合の勝利、そしてプリンスリーグ関東1部昇格や選手権出場など一つ一つ積み重ねて自分たちのステージを上げる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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