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拭えなかった不安…注目の神村学園は勢いを欠き、初戦敗退。FW福田師王は「変わりたい」

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前回大会得点王、神村学園高の最注目FW福田師王は無得点で初戦敗退に(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.25 インターハイ2回戦 神村学園高 0-2 履正社高 徳島市球技場第2競技場]

 不安を拭うような戦いをすることができなかった。神村学園高(鹿児島)は新型コロナウイルスの影響によって、「(大会直前に濃厚接触者の隔離などで)トレーニングという感じのトレーニングができなかったことは事実ですね」(有村圭一郎監督)。現在の社会情勢を見ても、完璧な準備をすることは非常に難しいこと。ただし、指揮官は「コンディションが良くなかったのはありますけれども、そこに対してウチの選手たちがモチベーションを上げてやれなかった、モチベーションを上げさせてやれなかった印象です。(十分な準備ができないことは)どこも一緒だと思っていたので」とコロナ禍を言い訳にはしなかった。

 それでも、十分な準備をすることができなかったことは、高校生の心理的に大きかったようだ。今大会最注目のU-19日本代表候補FW福田師王(3年)は不安があったかという問いに対して、「ちょっとありました。チーム状況が悪かったし、全然みんなで練習できていなかったので……」。その状況で、藻掻きながら戦ったが、結果はついてこなかった。

 前半はU-16代表候補左SB吉永夢希(2年)がインターセプトから一気に攻め上がるシーンや、相手のクリアを繋いでMF積歩門(3年)が決定的なシュートを放つシーンがあった。だが、相手の好守の前に思うようなビルドアップ、チャンスメークができない。

 福田は「シュートの本数が少なくて、自分的に凄い意識していたんですけれども、なかなか自分でもチャンスを作れなくて。自分でも良い方向に向かわせたかった」と悔しがる。指揮官が指摘したのは勢い不足だ。

 有村監督は「フィニッシュのところまでも持って行けなかったですし、強いていえば(チーム全体の)勢いが無かったですね。ボールを奪いに行く時もそうですし、攻撃する時もそうですし、何を置いても勢いが無く、終始フワフワしたままでゲームが終わってしまった印象です」と語った。

 怪我からのコンディション回復に務めながら準備してきた福田は、終盤に迎えたGKとの1対1も止められて無得点。「自分のせいで負けたので後悔しています。もっと動けるシーンも、決めれるシーンもあったので、チャンスを全然作れていなかったので、本当に自分だけのせいです」と首を振る。

 福田は前回大会得点王。年上のU-19日本代表候補や日本高校選抜でもゴールを重ねてきた超高校級のストライカーだ。トレーニングで誰よりもシュートを打ち続け、課題を一つ一つ改善し、逆に強みに変えながらスケールアップしてきていた。球際、ヘディングは圧倒的に強く、動き出しも秀逸。C大阪内定のMF大迫塁主将(3年)ら配球役も揃い、 2年連続得点王、昨年の8強を超え、神村学園にとって初の全国制覇が期待されたが、インターハイはわずか1試合で幕を閉じた。

 有村監督は「(福田や大迫をはじめ)ピッチの中で良い選手と言われる選手が献身的にやる姿が今後の色々なことを変えていってくれると思う。冬にはもっと良いチームになって戻ってきたいです」とコメント。福田は「自分だけのせいなので変わりたいです。こんな悔しい思いをしないようにまた練習から頑張っていきたい。もっと決定力を上げたり、もっとチャンスを作って味方を活かしたり、全てのレベルを上げないといけない。もっとチームを鼓舞して勢いをつけていけたら」と自身が変わってチームを変えることを誓い、夏の全国大会を終えた。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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