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前回準Vの米子北が2年連続4強。インハイ通して昨年のような我慢強く、喋るチームに

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米子北高は70分間我慢強く戦い抜き、3-0で決勝進出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 インターハイ準々決勝 湘南工科大附高 0-3 米子北高 JAアグリあなん陸]

 21年度、高体連チームで3冠王者の青森山田高(青森)を最も苦しめたのが、米子北高(鳥取)だった。インターハイ決勝で対戦。セットプレーなどのファーストディフェンスで渡り合い、セカンドボールを拾ってからの速攻で圧倒的な強さを誇っていた難敵に対抗した。先制するも、後半アディショナルタイムに追いつかれ、延長後半アディショナルタイムの失点によって逆転負け。それでも、10番MF佐野航大(現岡山)とCB鈴木慎之介主将(現関西学院大)を軸とした好チーム、全国2位に相応した集団だった。

 米子北は、その昨年に続いて2年連続でインターハイベスト4進出。主将の左SB野田徹生(3年)が「自分たちの(戦い方である)ハイプレス・ブロックがキツい中でも70分間しっかりブロックを作りながらやれていたので、準決勝に向けての自信になりました」というように、ハイプレス・ブロックの守備を軸にまとまりがあり、全国大会で勝ち上がるチームになっている印象だ。

 湘南工科大附高の室井雅志監督は米子北の印象について、「分かっていても止められない、これが全てだと思うんですよね」と語る。ハイプレスからのショートカウンターやロングボールをそらしてゴールに結びつける攻撃は神奈川王者にして、“分かっていても、止められない”というレベル。加えて、この日は、足元の技術力と判断力を駆使して戦う湘南工大附に対し、野田やCB倉田大雅(3年)、CB森川和軌(3年)を中心にお互いが助け合いながら我慢強く戦い抜いた。中村真吾監督はインターハイ期間中の変化と、今後への期待を口にする。

「きょうに関しては我慢強くやろうというのがテーマだった。持っているものは(昨年と)そんなに違わない。何が違うかというと、我慢強さが去年の子にはあって、彼らはそれで成長していった。今の子たちは、能力はあるけれど、(コロナ禍で)継続して練習出来ていない感じの印象なので、粘り強さを身につければ能力としてはあると思う。(3-0で勝ったこの日のように)少しずつ試合を重ねて、我慢の大切さを感じてくれれば良いなと思っています」

 また、この日ピッチで見られたのは、選手同士で喋り合っていた姿だ。「きょうは4枚DFが結構喋ってやっていたから、それが全然今までと違う。(対湘南工大附は)コミュニケーション取りながらしっかりとマークの受け渡しをしなければ無理な感じで思っていて、やられたところも何度かありますけれども喋りながら解決できたと思います」と中村監督。昨年のチームは、佐野と鈴木を中心によく喋るチームだった。インターハイでその必要性を感じ、自分たちから発信するようになった昨年と同じ気づき。コロナ禍で冬場の活動などが制限された米子北だが、インターハイの厳しい戦いを経験する中で昨年同等、それ以上のチームになってきている。

 野田は「少しずつですけれども、みんな一人ひとりの思いが一つになってきて3年生、2年生学年関係なく絆が深くなってチームワークができてきて、大きな力になっているかなと思います」。声を掛け合いながら一体感のある戦い。中村監督は「(去年のチームも)この大会でやりながらできるようになった。彼らもきょうで3試合目になるけれど、出来始めてきた。これで自信になってやっていってくれれば、去年の結果に近づけるかなと思います」。

 インターハイは過酷な条件下での連戦。協力し合って走り切る力、我慢強く戦い抜く力、またコミュニケーションを取り合って「一つになることはこういう環境で身につくものかなと思いますね」と中村監督はいう。米子北にとってインターハイは昨年のリベンジの大会。強敵・前橋育英高(群馬)との準決勝で勝ち切って、また成長して決勝に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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