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過酷なコンディションも「強いチームは勝ち切るぞ」。長崎日大が残り2分で追いつき、PK戦制して長崎決勝進出

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長崎日大高がPK戦を制し、決勝進出

[6.8 インターハイ長崎県予選準決勝 長崎日大高 1-1(PK5-3)創成館高 県立百花台公園サッカー場]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技長崎県予選準決勝が8日、雲仙市の県立百花台公園サッ カー場で開催され、県新人戦優勝校の長崎日大高創成館高が対戦。後半33分にFW中川粋(3年)のゴールで追いついた長崎日大がPK戦を5-3で制し、決勝進出を果たした。長崎日大は9日の決勝で国見高と対戦。勝てば、19年以来、7回目のインターハイ出場となる。

 大雨予報通り、この日は試合開始前から激しい雨。水はけが良いと言われる県立百花台公園サッカー場のグラウンドでもところどころに水たまりができるほどだった。試合はロングボールが増える展開に。長崎日大はグラウンダーでボールを動かすチームだが、この日は長いボールも活用して相手を後ろ向きにさせること、押し込むことを狙って試合を進める。

 立ち上がりは創成館がFW西咲人(3年)、FW溝口寛晴(3年)の2トップの馬力のある動きなどで相手ゴールへ迫る。一方の長崎日大も中川のボールキープや右WB田代拓叶の配球から、こぼれ球を拾ってチャンスに結びつけようとする。

 だが、ショートパスも止まってしまうようなピッチで思うようなボールコントロールができず、創成館のCB池田隼人主将(3年)やMF副島千歩(3年)、長崎日大のDF白濱利羽(3年)、MF大町璃史(2年)らの競り合い、拾い合いの目立つ展開。互いになかなか攻め切ることができず、シュート数は増やせなかった。

 長崎日大は後半開始から右サイドにFW山本勝太(2年)を投入。セカンドボールを拾い、推進力のある左のFW山口翔(3年)、右の山本を活用し、連続でクロスへ持ち込むなど徐々に流れを傾けていく。16分には、山口の左クロスから中川が決定的なヘッド。だが、創成館GK力竹誠希(2年)がファインセーブで阻んだ。

 迎えた23分、創成館が先制する。西の浮き球パスでDFと入れ替わった溝口が左足シュート。思い切り良く放った一撃がゴール右隅へ突き刺さった。喜びの最中、足を引きずって交代した溝口の執念の一撃で創成館がリード。苦しい展開となった長崎日大は28分、怪我でベンチスタートの注目10番FW友永響(3年)を投入。システムを4-4-2に変え、サイドからゴール前のシーンを作り出す。

 そして、33分、MF酒井永遠(3年)が左サイドから右足でCKを蹴り込む。「CKになった時に絶対に決めようと思っていて、自分はファーでボールに合わせようと思っていて、そこにちゃんと来たので押し込むだけでした」という中川がこぼれ球を左足で蹴り込み、土壇場で同点に追いついた。

 この後、創成館は西がターンからのシュートやドリブル突破でチームを牽引。またMF渡辺翼(3年)の左足パスなどから再び勝ち越しを狙う。一方の長崎日大は延長戦で友永、山口のスピードを活用した攻撃。PK戦突入直前にGKを田村祥主将(3年)からGK吉原亜怜久(3年)へスイッチする。その直後、右CKの折り返しを友永が頭で合わせたが、ボールはポストをヒット。決着はPK戦に委ねられた。

 PK戦はともに1人目と2人目がゴール。迎えた3人目、後攻・創成館のシュートを長崎日大GK吉原が右へ跳んでストップする。この後、長崎日大は4-3とすると、最後は酒井が右足で左隅に決める。坂本信行監督から「こういう(難しい環境の)中で強いチームは勝ち切るぞ」送り出されていた長崎日大が細部までこだわり、逞しく勝利。全国まであと1勝とした。

 坂本監督は雨中でスタンドから応援してくれた選手たちをマン・オブ・ザ・マッチに挙げた。来場できなかった部員もいた中で、「きょう圧倒的に人数負けているなかで良く頑張ってくれた」と感謝。また指揮官は「今、スタートで誰が出るか分からないくらい全体で上がってきてくれている」ことを新人戦からの上積みに挙げる。その競争力、一体感も強みにあと1勝へ挑む。

 吉原は「今までやってきたことを全て発揮して明日の試合に備えていこうかなと思っています」と語り、中川は「決勝も絶対に自分が決めてインターハイを決めたいと思っています」。伝統校・国見を乗り越え、全国切符を獲得する。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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