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前回大会のインハイで優勝を経験。前橋育英GK雨野颯真主将が重視する「ゼロに抑えること」「自分に負けないこと」

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前橋育英高のGK雨野颯真主将(3年=FC杉野Jrユース出身)はインハイ2連覇を目標に掲げる

“上州の虎”こと前橋育英高(群馬)は、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技群馬県予選で6連覇を達成。今回のインターハイで唯一2連覇の権利を持っている前橋育英は、シード校として2回戦から登場し、東山高(京都)対立正大淞南高(島根)の勝者と初戦を戦う。

 今年、名門校の主将を務めているのが、昨年のインターハイ優勝GKでもある雨野颯真(3年=FC杉野Jrユース出身)だ。前回大会は決勝で相手選手との1対1を止めるなど好セーブを連発。大会優秀選手に選出され、今年はU-17日本代表、U-17日本高校選抜にも選出されている注目GKだ。

 前橋育英は今月9日のプレミアリーグEAST第11節(ホーム)で青森山田高(青森)と対戦。雨野は前節の怪我によって練習が全くできていない中でのプレーだったが、それでも1対1をストップするなど好守を見せた。だが、チームは1-2で逆転負けし、5勝6敗の6位で前半戦を終了。雨野が青森山田戦の感想や、切り替えて臨むインターハイへ向けた意気込みなどについて、語った。

―青森山田戦は怪我もあったようだが?
「(前節に負った怪我でトレーニングを)やっていなかった部分もあったんですけれども、やることは変わらないので、山田ということで気合いも入っていたので試合中は別に関係なくやれたと思います」

―気持ちの込もった良い試合だったが。
「アルディージャ戦(1-3)の反省も活かして球際のところも意識してやっていたんですけれども、後半、自分たちもバテてきちゃって、それが1試合通して継続してやれなかったのが課題だと思います」

―一瞬の隙を突かれての失点も。細かな差があった。
「山田はああいうところで絶対に決めてきますし、勝負強さのあるチームなので。逆にあれがインターハイとかなってくると、そういう一発で負けたりすることがあると思います。リーグ戦でもそういう積み重ねが重要。今(の順位)はまだ中間の方にいますけれども、(積み重ねられなければ)下の方にどんどん落ちて行っちゃうと思うので、細かいところをもっと突き詰めていければと思います」

―勝って勢いをつけたかった。
「2連敗していて、今日は絶対に勝つと意気込んで行ったんですけれども、こういう形になってしまって、次に繋がるゲームではあると思うんですけれども、リーグ戦的には厳しいので、一回インターハイに切り替えてやっていこうかなと思います」

―1つめの失点は雨野君がビッグセーブした直後のプレーだった。
「代表行った時に『ファインセーブした後に失点しやすい』と言われていて、その意識はあったんですけれども、それをもうちょっと自分が発信してやれたら良かったのかなと反省しています」

―あのシーン、青森山田もCKのやり方を変えてきた。
「ああいう変化に気づいてすぐに対応できるチームが強いと思うので、それが自分たちはまだできていなかったので、そういうところをこの2週間また空くので、改善していけたらなと思います」

―インターハイの組み合わせの感想を教えて下さい。
「初戦は2回戦からということで1試合少ない。去年も1試合少なくて、1試合少ないことはとてもデカいことだと思いますし、どの相手が来ても簡単なゲームにはならない。一戦一戦、どの相手が来ても自分たちは対応して、日本一を目指していければいいと思っています」

―毎試合、強敵との対戦になる。
「強敵を倒してこそ、日本一だと思いますし、今回負けた山田とは決勝でリベンジマッチをできる可能性もあると思うので、それを目指す上で負けられないし、色々な良いチームもいるので大会を通して成長できればと思います」

―経験者として優勝するために必要だと思うことは?
「去年は失点が少なかったというのが非常に大きかったと思うし、まず守備はゼロで。攻撃が1点取れば守備はゼロで抑えれれば勝てるというゲームが多かったので、それを意識すること。また、暑さとの戦いになってくると思う。(山田耕介)監督に『最後は自分との戦いだ』と言われているんで、そういうところで『自分に負けない』ということはチームで統一すべきなのかなと思っています」

―1年前は優勝。インターハイは良いイメージがあるのでは?
「大会については良いイメージがあるんですけれども、本当に上手くいかないことの方が多いと思うので、それをこれからどう改善していくか、チームでどんどん話し合ってということが重要になってくると思います」

―最高の準備ができるか。
「本当に細部にこだわっていかないと、そういう勝負の世界は負けてしまうと思うので、試合が終わるまで1試合通して集中し続けてというところは意識してこれからやっていかないといけないと思います」

―最後は自分が止める。
「どんなに守備を強化しても決定的なシュートが1本はあると思うので、それを自分が止めてというところが去年はそれができていたから日本一に繋がったと思うので、今年はもっと自分が意識して、去年よりもピンチの数が多くなると思うので、そこは集中力を切らさずに試合が終わるまで自分はゼロにこだわってやっていきたいと思っています」

―成長してインターハイに戻ってきた。
「1年で色々なことを経験して、そういう経験が自分の財産になったので、その経験を今年は自分がどんどん活かしていきたい」

―U17アジアカップを見た?
「ああやってアジア1位になったのは自分としても凄く刺激になりましたし、もっともっと自分が頑張っていかないといけないと思ったので、本当に自分の成長に繋がるのかなと思います」

―GK後藤亘(FC東京U-18)が活躍した。
「ベストGKにも選ばれて、自分も後藤とかにも競っていかないといけないと思うし、本当にプロを目指す上ではああいう競争にも勝っていかないといけないというのがあるので、本当に自分がもっともっとやっていかないといけないかなと思っています」

―雨野を呼ばなければ、というくらいに。
「そういう存在感をプレミアとか、直近で言うとインターハイで出して行けたらなと思っています」

―チームとしての成長はどのように映る?
「インターハイ県予選終わってから3連敗と流れ的には悪いところだと思うんですけれども、ポジティブに捉えれば、インターハイに繋がる課題が出たというところでそこでチームの士気を落とさずに課題と向き合って、どれだけやっていけるかが自分たちの成長にも繋がって行くと思います」

―良くなってきた印象だが。
「そういう意見もあると思うんですけれども、守備のところでまだまだ甘いですし、今日(青森山田戦)も2失点というのがあるので。まだまだ満足していないですし、まだまだ自分たちはできるんだぞと言い聞かせてやっています」

―チームの雰囲気については?
「監督からは『リーダーがいない』と言われていて、そういうチームをまとめる役割がまだまだ求められていると思うので、自分がそういうところで率先してリーダーになれたりとか、そういうところが必要になってくると思います」

―自分の性格を分析すると?
「結構明るい方だと思います。ワチャワチャして。どっちかというとそういう感じだと思います。練習でもそういうのをもっと出していかないといけないと思っていますね。(チーム内には)まだ恥ずかしがったり、そういう人がいるので、それがもうちょい表に出たらもっと良くなると思うんですけれども、それが課題かなと思います」

―インターハイはどのような大会に?
「今年、2連覇がかかっているので連覇を目指すということと、自分が主役のチームになると目標を掲げてやっているので、守備のところだけじゃなくて、攻撃のところも活性化できるように、役割を果たしていけたらなと思っています」

―出場校で意識するチームはある?
「(青森)山田は今日負けて、インターハイでも日本一を取られたくないので、そこは意識してやっています」

―(互いに勝ち上がって)決勝でリベンジ。
「それが一番理想ですけれども、まずは目の前の相手に集中してという感じになるかなと思います」

―選手権に向けても「強い育英」に。
「まだちょっと期間が空くので、そこで強くなって大会に臨みたいと思います」

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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