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U-17代表で初の海外を経験。前橋育英GK雨野颯真主将は「1試合1試合の積み重ね」で3冠、世界での戦いへ

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前橋育英高のU-17日本代表GK雨野颯真主将(3年=FC杉野ジュニアユース出身)は3冠、世界での活躍に挑戦

[4.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第2節 前橋育英高 3-0 旭川実高 前橋育英高高崎G]

 名門・前橋育英高(群馬)の守護神で主将。今年、チームリーダーの大役を担うGK雨野颯真(3年=FC杉野ジュニアユース出身)が世界へ向けたチャレンジもスタートしている。

 雨野は昨年、インターハイで優勝GKとなり、同大会と全国高校選手権でいずれも大会優秀選手に選出された。今年3月に行われたU-17日本代表のアルジェリア遠征で21年9月のU-15日本代表候補以来となる代表チーム招集。06年早生まれの雨野は「そろそろ呼ばれたいと思っていた」というタイミングで、U17アジアカップ(6月、U-17ワールドカップアジア最終予選)を控えたU-17日本代表の一員として世界を経験した。

 アルジェリア遠征は自身にとって初の海外。カタール経由で約20時間かけてアルジェリアへ移動した。長距離移動に加え、食事面や午後10時キックオフの試合へ向けたコンディション作りも難しかったという。その中で適応する力を学習。また、サッカーに人生を懸けている海外のプレーヤーを見て、意識の部分も変わった。

 プレー面で求められることも、キック一本で相手をひっくり返すところなど前橋育英と異なる部分があった。「(攻撃面では)自分のところで起点になっている部分も何本かあった。(1失点した)セットプレーとかで失点しないように締めるコーチングとか、そういうところで存在感を出せればと思います。自分も結構悪くなかったと思うので、世界とやれた部分もあって、自信を持ってこっちに帰ってこれたし、チームに対して還元できた部分もあったと思うので、ここでまた存在感を出してやれればと思います」。代表チームの戦いを経験し、攻守に手応えを得ることもできた。

 U-17日本代表はアルジェリア遠征で参加した国際親善大会を2勝1分で終えて優勝。雨野はU-17コモロ代表との最終戦でゲームキャプテンを務め、優勝写真では表彰状を手に中央の位置に収まった。キャプテンシーの部分も自分の強み。「世界と戦って自分も楽しかったですし、成長にも繋がると思う」と語る雨野は自分の強み、また存在感を出し続けて代表定着、世界との真剣勝負を目指す意気込みだ。

 まずは主将を務める前橋育英でのプレーが最優先。開幕戦黒星で迎えたプレミアリーグEAST第2節(対旭川実高)では、前半に相手の決定的なヘッドを弾き出し、至近距離から股間を狙われた一撃にもギリギリで対応した。この日、ゴール前のシーンの数は両校ともそれほど変わらなかったが、雨野を中心とした前橋育英守備陣の好守が差に。試合終盤など相手に流れが傾いていた時間帯もあっただけに、守護神はミスなく無失点で終えたことを喜ぶ。

「決められていたら2点、3点になってもおかしくない流れになりかけたところでああいう守備ができたことは本当に良かったと思いますし、これからも継続していきたい。自分も上目指しているんで、ここで簡単に失点していたら自分が上に行く機会もないと思うので、本当にそこは1試合1試合の積み重ねだと思います」

 前橋育英は日本高校選抜6人を擁した昨年から先発10人が入れ替わった。今年は昨年からの経験者でもある自分が毎試合2度3度とビッグセーブをして、無失点に抑えなければならないと考えている。

「このチームはまだ個の力とか多分相手に劣るところがあるので、去年よりも多くピンチが来ることは分かっている。そこで失点するかどうかでゲームが変わってしまうので、そこは無失点を意識して、常に1本1本に集中して、90分間終わるまで集中を切らさないようにということは意識しています」

 今年のチームの目標は3冠。「まずはチームとして3冠という目標があるのでそれを達成するということと、自分個人としては3年生最後の年なので、進路とかも色々ある中で自分がプロで活躍できるような選択肢を選べるように。(そして)代表と選ばれ続けることは目指していきたい」。昨年、自身がプレミアリーグの1試合1試合で大きく成長したことを実感。今年、目標を達成するためにリーグ戦、日常でチームメートとともに成長を重ねる。

(取材・文 吉田太郎)
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