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インハイは「みんなに認めてもらえるチャンス」。神村学園FW西丸道人主将はまず守備から、そしてどんな試合でも決めて勝つ

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FW西丸道人主将(3年=神村学園中出身)は神村学園高が勝つために走り、決めて、勝つ

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技が7月29日に開幕する。神村学園高(鹿児島)は今年、初昇格したプレミアリーグWESTで現在6位。日本高校選抜候補のFW西丸道人主将(3年=神村学園中出身)は、開幕から7試合連続ゴールを挙げるなど得点ランキング2位タイの12ゴールを挙げ、昇格組のチームを力強く引っ張っている。

 西丸は21日、「第12回 堺ユースサッカーフェスティバル in JG」(大阪)の岡山学芸館高戦でゴールを決め、勝利に貢献。その西丸が東邦高(愛知)との初戦からスタートするインターハイへの意気込みや、年代別日本代表入りへの思いなどを語った。

―インターハイ開幕まであとわずか。現在のコンディションと心境について教えて下さい。
「チームとしても、インターハイに懸ける思いというのは強くて、相当気合いが入っていると思います。個人的にも、チーム的にも早く戦うことを楽しみにしていますし、チームが一つのことに向かってやれているので、凄く良いチーム状況なんじゃないかと思います」

―去年は調整面で苦しんだだけに、かなり意識してやってきたと思うが。
「一人ひとりの試合に懸ける思いだったりが体調管理にも繋がっていくと思うので、そういう部分でも今、しっかりとやれているので、あとはやって倒すだけという感じですね」

―最後、どのような点を突き詰めていきたい?
「まずは守備のところだと思っています。最近のプーマカップもですけれども、守備のところを意識して、相手のゴールキックからハメに行くところをコンセプトにやっているので、上手く体現できるところもあるんですけれども、まだまだサイドで逃げられたりというところもある。まずは守備のところでしっかりチャレンジして、攻撃のところはその日の調子もあるんですけれども、どうにかなると思っているし、前の選手がどれだけ守備できるか。本当に守備に掛かっているなと思っています」

―その中でも西丸君が取らなければ勝てないゲームが絶対に出てくると思うが。
「逆に取ろう、取ろうとし過ぎると攻撃がメインになって守備が疎かになると良くない。自分自身、得点王や点を取って勝たせるというところがありますけれども、まずはチームが勝たないと何も始まらないので、そこは少し我慢して、まずは守備を頑張って、チャンスがあれば決め切る力があるか、ないかだと思います」

―プレミアリーグ開幕から連発してマークが相当厳しくなったのでは?
「前に比べれば相当キツくなりました。マークが1枚だったところが2枚付かれたりとか少しファウル気味に付かれたりするところもあるんですけれども、それで取れなかったらその上はないと思っている。そこを弱気にするのではなくて、その中でも取れるような工夫を今、チャレンジしたりしているので、それが結果になれば良いかなと思っています」

―動き出しの工夫も。
「動き出しのキレだったり、タイミングやクロスに対してはファーで待つことが多かったんですけれども、上げるタイミングでニアに飛び込むということを(左サイドの吉永)夢希にも言っているので、それらの変化で点を取れればと思います」

―吉永君、名和田君がU17アジアカップで不在だった。自分が決めなければという気持ちが強くなり過ぎていた面もあると思うけれど。
「あの2人がいない中でゴール前でやれる選手って多分自分しかいなかったので、そこに責任というのも感じていました。その中で『夢希じゃないとここ来ないな』、というボールも多くあったので。アイツだったらここに蹴ってくれるという動き出しでも、他の選手だったら蹴れなかったりもする。自分の力不足でもありますけれども、日頃、彼らに頼りすぎていたなと感じました」

―彼らのアジアでの活躍を見て、一番刺激を受けているのも西丸君かなと思うが。
「一個下とは言え、日の丸を背負って活躍しているのを見ると憧れますし、常に『何で、じゃあ、オレは選ばれないんだ』と感じているので。でも、自分に足りないところも分かっているので、そこをしっかりと改善しながら、カテゴリーが違っても早く追いつけるようにしたいというのが一番ありますね」

―代表チームにいなければならない一人だと思うが。
「多分、自分が行ったら納得しない人も多いと思うので、もう少しレベルを上げて、ちょっとでも多くの人が『アイツが代表行っているのは分かるな』くらい言わせないといけないなと思っています」

―足りないと感じているところは?
「得点力に関して波があると思う。どんな相手でも、勝っても負けても1点取れる選手と取れる試合しか取れない選手って……それこそ(先輩のFW福田)師王さんと自分の決定的な差だと思いますし、あとポストプレーなど一つ一つのプレーに関してちょっとしたミスが多いので、ちょっとしたところを突き詰めていかないと、そういうステージにはたどり着けないんじゃないかなと思います」

―チャンスの数の多い神村だから、求められるハードルも高いかもしれない。
「でも、それだけ決められるチャンスが多くて取れないのは(選ばれなくて)当然ですし、多くの人は結果しか見ない訳ですから、結果が全てだと思います」

―インターハイは示すチャンス。
「インターハイはもちろん決めれば(代表チームから)呼ばれるチャンスがあるかもしれないですし、チームもどんどん決めれば自分にマークが付いて、我空とかが点を取れたりするので、まず自分が取って勢いを付けて、また色々な面でチームを楽にしていければ良いと思います」

―予選の鹿児島実戦のような、最後に西丸君のゴールで勝つようなゲームも理想。
「ああいうチームを救うというのは自分の自信にも繋がりますし、周りからの信頼も大きく得られるんで、そういう意味ではインターハイはみんなに認めてもらえるチャンス」

―相手にとっては、その存在が間違いなく嫌だと思うが。
「いえ。でも、前よりは通用する部分も多くなっていますし、マークの付かれ方だったり見ても少しは自分もレベルの高いところへ上がっているなと感じますけれども、まだまだです」

―ライバルのFWたちも意識する存在に。
「(静岡学園の)神田(奏真)とか(大津のFW碇)明日麻とか、(高川学園のFW山本)吟侍とか良いFWはいっぱいいるので。自分にないものを持っている選手がたくさんいるので、そういう選手と選抜や対戦相手でも一緒にやるというのは凄く自分にとって良い刺激になるので、本当に決勝とかだと静学とやりたいという気持ちが強いですね」

―チームとしても、これまで以上の手応えを持って臨めるのではないか。
「やっぱり我空とか夢希はワールドカップのためにチームで結果を出そうとしていたり、他の自分や有馬とか出ている3年生は自分の代、早生まれの選手は1個下の代表、違うステージですけれども目標がだいぶ上がってきていて、そのために何をしなければいけないか分かっている。まずチームで結果を出して、個人で輝くという思いを一人ひとりが強く持っているので、そういう意味で凄くチーム内の競争も激しいですし、今までにないほど向上意欲が高いです」

―大迫塁君(現C大阪)や福田師王君(現ボルシアMG)と同じ視線を持っている選手がかなり増えているのが神村学園の強みになっている。どのような戦いをして勝ち上がっていきたい?
「まずは守備からなんですけれども、攻撃面では夢希と我空が自信をつけて帰ってきているので、チームとしてもプレーのやれる幅が広がっている。攻撃面ではどのチームも止められないんじゃないかと思っているので、相手が止められない圧倒的な攻撃で勝つというところを攻撃の目標に置いています。守備では、ウチが無失点で勝つということはこれまであまりないと思うので、そこを覆してどれだけ無失点で勝てるかということを課題としてやっていますし、無失点で勝って色々な人を驚かせたい」

―個人としてのノルマは?
「去年はチームも無得点だったので、チームの勝利に貢献するというところと、得点数では2桁近く取って得点王。最後に結局、(自分が得点を重ねて、)得点王を取れればと思います」

―2桁取れば、おそらく2000年の大久保嘉人さん(当時国見高)以来。
「そのくらい取りたいなと思います」

―進路へ向けても大事な大会になる。
「どのような形になっても、最後認めてもらえるようなプレーを示したいと思っています」

「第12回 堺ユースサッカーフェスティバル in JG」の岡山学芸館高戦でゴール

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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