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[MOM4375]旭川実MF鵜城温大(3年)_公式記録に並んだ「鵜城温大。鵜城温大。鵜城温大」。今年からFWに定着したアタッカーが圧巻のハットトリック!

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圧巻のハットトリックで勝利に貢献した旭川実高MF鵜城温大(3年=旭実FC出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.30 インハイ2回戦 旭川実高 3-2 帝京長岡高 東光スポーツ公園球技場A]

 鵜城温大。鵜城温大。鵜城温大。公式記録の得点者欄に同じ名前が三段続く。「地元開催で全校応援もあって、『絶対に決めてやろう』という想いはあったので、決められて良かったです」とは本人だが、こんなことはそうそう起こることではないだろう。

 “ホームゲーム”で衝撃のハットトリック達成。地元開催の初戦に臨んだ旭川実高(北海道1)の6番を背負ったアタッカー。MF鵜城温大(3年=旭実FC出身)が携えてきた得点感覚が、最高の形で爆発した。

 最初の歓喜は前半13分だった。旭川実は左サイドで高い位置に侵入した流れから、MF百々楽(3年)がグラウンダーで中央へ送ったクロスが、そのまま中央のスペースへ抜けてくると、いち早く反応した鵜城がボールを丁寧にゴールへ流し込む。「結構厳しい試合になると思っていたんですけど、早い段階で点が獲れて良かったです」。まずは1点目

 21分。旭川実は右サイドでスローインを獲得する。チームきっての“強肩”、センターバックのDF岡本染太郎(3年)が投じた“1球”は、十分な飛距離でエリア内まで届き、競り勝った鵜城のヘディングはまたもゴールネットを揺らす。「ロングスローからだったんですけど、ヘディングは得意なので、決められて良かったです」、続いて2点目。

 35+2分。相手最終ラインでのビルドアップを見極め、一瞬の隙を突いてボールをかっさらった鵜城は、そのままGKとの1対1を迎えると、冷静なフィニッシュでゴールを陥れる。「結構『適当に蹴っちゃえ』みたいな感じで、蹴ったら入ったので良かったです(笑)」。圧巻の3点目。ハットトリックの達成だ。

 前半で大きなリードを奪った旭川実は、後半こそ追い掛ける帝京長岡の猛攻にさらされ続けるも、反撃を何とか2点に抑え、3-2というスコアで1,600人が集まったスタンドに勝利をプレゼントする。その主役が「最初は緊張していたんですけど、それもパワーに変えられて良かったです」と笑った鵜城であることに、議論の余地はないだろう。

 昨シーズンまではチームにおける立ち位置を模索していたという。「1年生の時は中盤をやることが多かったですし、2年生の最後の方はサイドバックもやって、3年生に入ってフォワードに定着したんです」。逆に言えば最終ラインも、中盤も、最前線もこなせるだけのポリバレントさを有しているということ。その中で今シーズンはフォワードとして、自身をブラッシュアップしてきた。

 チームを束ねる富居徹雄監督は鵜城について、「意外とプレミアでも点を獲っていますね。悪くないですし、ゴールの感覚は持っています」と言及。いくつも試してきた中で辿り着いたポジションで登場し、晴れ舞台で最高の結果を残してしまうのだから、やはりサッカーはわからない。

 もともとは北見市の出身。中学時代は自宅から1時間近い時間をかけて、網走市に居を置くFC網走U-15でプレーしていたが、「やっぱり全国に出たかったので、強い高校に行こうと思って」、旭川実の門を叩いた。

 不思議な巡り合わせだと、自分でも感じている。「自分が高校にいる3年間で、北海道でインターハイがやれると思っていなかったですし、1日でも多くできたらいいなと思っています」。
 
 3回戦の相手は市立船橋高。7月1日にプレミアリーグのホームゲームで対戦しているが、その時は1-6で完敗を喫している。「プレミアでも1回やって、その時は負けているんですけど、1点は獲れていて手応えもあるので、明日は勝ちたいですね」。間違いなく前回の対戦時より確実に自信を纏ったように見える鵜城は、さらにこう言い切った。

「得点王は狙っていきたいです」。

 突如として大会の得点王争いに名乗りを挙げた、旭川実のライジングスター。鵜城の研ぎ澄まされた得点感覚が、市立船橋相手に再び爆発しないだなんて、この日の衝撃的なハットトリックを見てしまった今では、きっと誰にも言い切れない。

(取材・文 土屋雅史)
●【特設】高校総体2023

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