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[MOM4376]市立船橋MF峯野倖(2年)_長期離脱から復帰のボールハンター。「他の人と違う」気持ちを持って抜群の動き

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市立船橋高MF峯野倖(2年=JFAアカデミー福島U-15WEST出身)は中盤で抜群の動き

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.30 インハイ2回戦 市立船橋高 2-2(PK8-7)大津高 忠和公園多目的広場B]

 約9か月の離脱を乗り越えて立っている全国大会のピッチ。「人生とか命懸けてやっている」「その気持ちは他の人と違う」と言い切る2年生ボランチが、市立船橋高(千葉)の中盤で躍動している。

 この日は、同じプレミアリーグに所属する大津高(熊本)とのビッグマッチ。市立船橋MF峯野倖(2年=JFAアカデミー福島U-15WEST出身)は、波多秀吾監督が「アイツ気持ち入っていたと思うし、どこにでもアイツがいたと思います」と評するほどの運動量で相手の攻撃の芽を摘んでいた。

 試合の中で相手ボールホルダーにアタックする回数はずば抜けている。右の局面にも、左の局面にも現れ、相手ボールを刈り取り、セカンドボールを回収した。そして、推進力を持って前進。シュートシーンに係わった。2点目の失点シーンに絡んでしまったことを猛省していたが、そこからまたギアを上げて抜群の動き。緊張のPK戦も8人目でしっかりと決め、勝利を先輩たちと喜んだ。

 峯野は昨夏、短期間に計3度の脳震盪を起こし、ドクターストップ。トレーニングには参加していたものの、接触プレーのあるメニューは禁じられていた。U-16日本代表にも選出されていた注目株だが、昨年9月から今年5月まで約9か月間の長期離脱。「その期間は他のチームの同い年のやつらとかがプレミアとか代表活動とか行って活躍して、自分はやりたいのにできない。どんどん離されて行く感じがあって悔しかった」と振り返る。

 それでも、医師の許可が出て待望の復帰。インターハイ予選で公式戦復帰を果たすと、準決勝、決勝で試合の流れを引き寄せる活躍を見せた。そして、今回のインターハイは先発として出場。「(起用理由は、)セカンド回収とか守備で他の人と差をつけているところかなと思っています」と語るボランチは、初戦でゴールも決めるなどチームの期待に応えている。

 波多監督は峯野の存在について、「アイツがいるのといないのとでは全然違います」とコメント。セカンドボールの回収など守備面だけでなく、攻撃面も評価。キックの課題はあるものの、「意識が高いし、気持ちも強いので、そういう(課題の)ところが今後も伸びていけるかなと期待しています」と飛躍することを求めていた。

 長期離脱の影響はゼロではない。また、再び脳震盪を起こしてしまう不安を抱えながらのプレーでもある。だが、本人は「他の人とは違う」という思いでピッチに立ち、全力で攻守。全国での連戦も雰囲気を楽しみながら勝利を目指し、勝ち上がっている。

 代表復帰も大きな目標だ。今年6月と7月に開催されたU17アジアカップは、動画で主にU-17日本代表のボランチの選手たちの動きをチェック。悔しくて、日本の優勝にも素直に喜べない思いがあったという。それでも、仲間たちがアジアを突破してくれたことで、U-17ワールドカップを目指すという新たな目標ができている。
 
「代表の中盤の人たちは攻撃が上手いですけれども、守備は自分の方が上手いという自信があるかなと思っているので、選ばれたらそういうところは差をつけていきたい」。離脱中、GK練習に参加してシュートを撃ち続けるなど、キックも以前に比べてレベルアップしている。攻撃面でもアピールする可能性大だが、まずは目の前の戦いを「貪欲に、泥臭くやるだけ」。強い思いを持って、市船の勝利のために1試合1試合を戦い切る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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