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[MOM4385]市立船橋MF太田隼剛(3年)_名門校をけん引する主将「結果を残して、今後のイチフナのために繋げたい」

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市立船橋高のキャプテンを務めるMF太田隼剛(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 インハイ3回戦 旭川実高 0-2 市立船橋高 東光スポーツ公園球技場B]

 名門・市立船橋高(千葉)の主将を務めるMF太田隼剛(3年)の働きぶりはチームの要といって、間違いないだろう。中盤の底で攻守のバランスをとりながら、長短のパスを駆使して攻撃のタクトを振るう。守備力に長けたMF峯野倖(2年)との関係性もよく、今大会屈指のボランチと言っても過言ではない。

 試合開始と共に攻守両面で存在感を発揮する中、最大の見せ場が訪れたのは前半28分。右サイドにいたDF佐藤凛音(3年)からのパスをセンターサークル付近で受けると、素早くゴール前にスルーパス。タイミングよく抜け出したFW郡司璃来(3年)が冷静にゴールネットを揺らして市立船橋が先制した。相手が見せた一瞬の隙を突いた長いスルーパスは試合前から狙っていた形で、狙いについてこう話す。「最初、(サイドハーフの)森駿人の所で優位性が作れるとミーティングで話していた。相手サイドバックが森を警戒して開いていたので、郡司へのパスコースが見えた。ボールが回った時は常に郡司を意識しているので、そこに流し込んだら郡司が決めてくれました」。

 後半に目を惹いたのは気の利いた位置取りだ。「相手が前からプレスをかけると、あまり繋げないのが分かった。(プレスをかけると相手は)ロングボールが増えると思ったし、高い位置で奪ったらよりチャンスになるのは分かっていた」。前半は最終ラインが低かったため、自然とボランチの位置も低くなっていたが、後半に入ってからはスタートポジションを少し高めに設定。郡司らアタッカー陣が前線からの守備でコースを限定し、ボールを高い位置で拾って二次攻撃、三次攻撃に繋げる回数が増えた。また、点を獲るために前がかりになった相手の背後を突く形で、サイドを変える長いボールも効果的に配球するなど、攻守における貢献度はピカイチだった。

 1年目から定位置を掴み、2年目からはゲームキャプテンも任される太田だが、昨年のインターハイは足首の怪我もあり、登録メンバーには入ったものの出場機会は得られなかった。攻守のキーマンを欠いたチームは持ち味を発揮できず、2回戦で敗退。「ベンチで見ていた時は自分が出て活躍したい想いが強かった。結果的に叶わず、2年生だったので絶対来年は試合に出たいという気持ちが強かった」。それだけに今大会にかける想いはチームの中でも人一倍強い。東西のプレミア対決となった2回戦の大津高(熊本)戦はPK戦までもつれるなど楽な試合はないが、それでもイチフナらしく粘り強く勝てているのは、ボランチとして主将として逞しさを見せる太田がいるからだ。

 幼稚園の頃にMF和泉竜司(現名古屋)らを擁した代の選手権を国立競技場で見て、市立船橋への入学を決めたほどイチフナ愛は強い。だからこそ、近年は全国のタイトルから遠ざかるチームを何とかしたい気持ちもある。「イチフナを食ってやろうというのは毎試合感じるけど、優勝校の誇りや伝統があるので、自分たちは負けてはいけないと分かっています。近年、イチフナが全国大会で活躍できない状況が続く中、自分たちで変えてやろうという想いは人一倍持っている。こうやってもう1回ここまで来たので、結果を残して、今後のイチフナのために繋げていきたい」。

 ここからの戦いは更に難易度が上がるが、彼がいるならイチフナは大丈夫と言い切れる。

(取材・文 森田将義)

●【特設】高校総体2023

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