beacon

一瞬の隙を逃さなかった市立船橋、「前回とは全く別のチーム」となった旭川実をしたたかに下してベスト8へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

2発完封勝利の市立船橋高が8強入り

[7.31 インハイ3回戦 旭川実高 0-2 市立船橋高 東光スポーツ公園球技場B]

 7月31日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技3回戦が行われ、旭川実高(北海道1)と市立船橋高(千葉)が対戦。前後半に1点ずつを奪った市立船橋が2-0で勝利した。8月2日の準々決勝では、日大藤沢高(神奈川2)と対戦する。

 両者の対戦は、7月1日に行なわれたプレミアリーグEAST第10節以来。この時の対戦は市立船橋が前半13分に奪った先制点を皮切りにゴールを重ねて、6-1で大勝したが、2度目の対戦は同じストーリーで試合が進まない。「前回の結果を受けて、選手たちがファイトする部分があったのかもしれません。事前に、『前回やったチームとは全く別のチームだよ』と話していましたが、実際プレミアで対戦した際とは全く別のチームでした」と振り返るのは、市立船橋の波多秀吾監督だ。

「守備の所はある程度プラン通りに行ったのは事実」と富居徹雄監督が振り返った通り、旭川実は相手にある程度ボールを持たせながらもコースの切り方と素早いスライドを徹底し、一番危険なゴール前にボールを入れさせない。無失点のまま上手く試合を進められたのは良かったが、一瞬の隙を逃さないのが市立船橋のしたたかさ。前半28分、サイドからのボールを中央で受けたMF太田隼剛(3年)が素早くゴール前にスルーパス。最後は「縦のスペースが空いていて、隼剛が良いスルーパスを出してくれたので、自分は冷静に決めるだけでした」とFW郡司璃来(3年)が落ち着いて先制点を流し込んだ。

 1本のチャンスを確実に物にできるのは、プレミアリーグに何年も居続ける市立船橋の強さ。旭川実の主将DF庄子羽琉(3年)は失点シーンについて、悔しさを滲ませた。「プレミアの相手はワンチャンスを物にする。力のある選手がいて、1個のミスを確実に得点へと結びつけてくる。35分の中で34分できていても、その1分で隙が出てしまったら、それを確実に仕留めてくる相手だと思う」。

 後半6分には左サイドで縦を突破したMF森駿人(3年)のクロスから、郡司がシュートを打つなど残り35分を切ってからも市立船橋のペースで試合は進んだ。旭川実もFW和嶋陽佳(3年)が思い切りの良い仕掛けで相手ゴール前まで持ち込むなど、カウンターから反撃のチャンスを伺い続けた。オープン気味な展開になる中、再び試合が動いたのは22分。DF佐藤凛音(3年)が右サイドから入れたロングスローのこぼれ球を森がダイレクトボレーで打ち返すと、このシュートが決まって市立船橋がリードを2点差にした。

 31分には市立船橋に3度目のチャンスが訪れる。佐藤が前方に入れた浮き球から、MF佐々木裕涼(3年)が高い位置をとり、ゴール前への侵入から狙ったが、シュートは惜しくも右ポスト。終盤は旭川実が1点を狙って、攻撃に出たがきっちりと凌いだ市立船橋が2-0で勝利した。

 昨年のインターハイはまさかの2回戦敗退。「(昨年から)試合に出ていた選手たちも多く、そういう経験値の高い選手が色んな想いを背負って、今回の大会に臨んでいる」(波多監督)のが今年の市立船橋だ。昨年の先輩たちが流した悔し涙、OBたちの期待など様々な物を背負った選手たちは、1回戦で遠野高(岩手)に5-1で快勝。2回戦では同じプレミアの強豪、大津高(熊本)に2-2(PK8-7)で勝利。

「昨年のようなミスがなく、ちゃんとメンタル面も含めて良い準備をして、積み重ねられている。ゲームのクオリティーで言うと、もっとやれなければいけない部分はたくさんありますし、今後のことで言えば課題もありますが、ここまでの成長ぶりは、彼らの意識や取り組みに良い物があるんじゃないかと思います」

 そう波多監督は選手を称える。中1日を挟んでインターハイはクライマックスへと近づいていくが、以降の試合も万全な準備を進めて市立船橋は白星のみを掴み取る。

(取材・文 森田将義)

●【特設】高校総体2023

TOP