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初めて先制され、修正力、得点力を欠いて準々決勝敗退。市立船橋MF太田隼剛主将「まだまだ全国王者になれるレベルには達していなかった」

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市立船橋高のMF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は「もう一回、しっかり一からやっていきたい」

[8.2 インハイ準々決勝 日大藤沢高 1-0 市立船橋高 カムイの杜公園多目的運動広場B]

「自分たちの力が最後まで最大限に出せず、不本意な形で負けて、力不足だったと思います」

 市立船橋高(千葉)のMF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は、悔しさを滲ませながらコメントした。2回戦で同じくプレミアリーグ勢である大津高(熊本)との注目カードをPK戦の末に制し、3回戦では大応援に後押しされた地元・旭川実高(北海道1)を2-0で突破。だが、目標の日本一には届かず、大会を終えた。

 日大藤沢高(神奈川2)との準々決勝は前半35分、今大会初めて先に失点。追う展開となる中、冷静さを欠いてしまう部分があった。太田は、「焦ったプレーが多くて自分に矢印を向けなくて、味方同士に向けてしまうことが多くなってしまって、チームが上手くいかないまま時間が過ぎていった。そこを自分は修正しないといけない立場なので、修正できなかったのは自分の力不足かなと痛感しました」と首を振る。

 今大会の市立船橋は、35分ハーフという短期決戦で先手必勝。波多秀吾監督も後半勝負で選手を温存するような考えはなく、「最初からトップギアで戦うことを意識していた」と説明していた。だが、この試合では先制され、ビハインドの状況が続く中で高まった焦り。修正力、得点力を欠いたこともあり、逆境を乗り越えることができなかった。

 プレミアリーグEASTでわずか1敗。自信を持って臨んだが、主将の目には不足しているものが多く映ったようだ。この日、球際・切り替え・運動量という三原則を徹底し、競り勝って攻撃に繋げていたことも確か。だが、「個人個人の守備力という部分でもまだまだ足りないと分かったし、もっと際の部分で一人ひとりが取り切れればもっと楽な試合運びになったと思う」と主将は指摘した。

 市立船橋が求めるレベルは高い。波多秀吾監督も奪い切れずに相手のチャンスになってしまっていたことを課題に挙げる。「自分たちの強みとしている部分で負けてしまうと、当然相手は技術もありますし、同じ土俵というか球際のところでも優位を取られてしまうと難しいゲームになってしまうなと思いました」。主将はチームの生命線の部分、基本の部分から改善する考えだ。

「プレミア、選手権までちょっと空くので、チームのことよりも個人に矢印を向けて、1対1や止める・蹴るの質を見つめ直して強くなって帰ってきたい。ここからの過ごし方や練習がプレミアリーグ、選手権の2冠のために大事になってくると思うので、もう一回しっかり一からやっていきたい」

 得点を奪い切る力も不足。チームリーダーの一人であるU-17日本代表左SB内川遼(3年)は、「1失点のところも問題だけど、ゼロ得点はもっと問題だと思っていて、点を取らないとどうやってもPKに持ち込まれてしまう」と問題視していた。太田もその点について同調。「決め切るチームがインターハイ、プレミア、選手権を制してくるチームだと思うので、そういう部分ではまだまだ全国王者になれるレベルには達していなかったのかなと思います」と認めた。

 守りの要であるCB五来凌空(3年)が3回戦の怪我で負傷欠場。アクシデントもあったが、名門は言い訳せずに前を向く。「色々な人の支えとかがあった。応援は全国トップ級だった」(内川)ことへの感謝を忘れずに目標実現へ。自分たちを見つめ直し、プレミアリーグ、選手権で2冠を獲得するための日々を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)
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