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[MOM4392]日大藤沢FW山上大智(3年)_「インターハイで人生変えたい」。野心を持つFWが決勝点

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前半35分、日大藤沢高FW山上大智(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)が左足で決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 インハイ準々決勝 日大藤沢高 1-0 市立船橋高 カムイの杜公園多目的運動広場B]

「自分たちの代で注目されているFWが郡司(璃来、市立船橋高)とか、プロでやっている貴田(遼河、名古屋)とか、後藤啓介(磐田)とか、神田奏真(静岡学園)とか……。自分も負けていないと思っていて、そういう気持ちで入っていて。決めた時も『もっとやれる』『市船倒す』という気持ちだった」

 注目FW郡司璃来(3年)を擁する市立船橋高(千葉)との準々決勝。大きな野心を持つ日大藤沢高(神奈川2)FW山上大智(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)が、決勝点を決めた。

 前半35分、左クロスを中央で受けたMF安場壮志朗(3年)がシュート性のラストパス。「ここに来るだろうと」DFと上手く距離を取っていた山上がコントロールし、ゴールを背にした状態から左足を振り抜く。このシュートがゴールに突き刺さり、先制点となった。

 ゴール前で違いを生み出した山上のファインゴール。これは、前日の“スーパーゴールトレーニング”の成果でもあった。佐藤輝勝監督は前日練習について、「(市立船橋は)スーパーゴールがあるチームなので、『スーパーゴールをやり返そう』とスーパーゴールの練習をしました」と説明する。

 その中で山上は、「オレが取るんだ、と良いシュートを決めていた」(佐藤監督)。人工芝グラウンドだった3回戦から、準々決勝の天然芝に対応する形で微調整。最初は決まらなかったというが、感覚を掴んで臨んだ試合で千金弾を決めた。

 山上は今年の日大藤沢のエースストライカー。だが、県予選では引いて守ってくる相手に苦戦するなど無得点に終わっている。得意とするポストプレーで貢献したものの、点取り屋として悔しい県予選だった。

「予選の時はみんなに助けられて、PK戦だったり、身体を張っているところだったり……そこで自分が点を取れていなかったのは課題というか、凄く悔しかった。みんなからも『決めろ』とか『ちゃんとやれ』とか……『見とけ、いつかオレやるから』という気持ちでした」

 今回、「インターハイで人生変えたい」と挑戦。そのための準備もしてきていた。これまではゴール前の局面で、「ボールが来ないかも」と動きの遅れる自分も。そこから仲間や直感を「信じで走り込む」ことを徹底することで、より多くのチャンスに係ることができている。この日は得点シーン以外にもスルーパスやクロスから決定的なシュート。意識するFW郡司璃来(3年)も存在感を放っていたが、チームを勝利へ導いたのは山上の方だった。

 現在2戦連発中のストライカーは活躍を続け、得点王と優勝を目指す。「(得点王は)狙っています。まずチームが勝つことが大事ですし、チームが勝つプラス得点を取れれば良いと思っている。自分の得点で勝たせる気持ちがある。代表も行きたい。今大会で人生を変えて。(スカウトたちから)欲しいと思われるようなFWになりたい。(注目されている)郡司とかに負けたくない。アイツじゃなくてオレだと」。準決勝、決勝の活躍で人生を変える。

(取材・文 吉田太郎)
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