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4年ぶりの決勝進出。桐光学園は初V時以上のハードワークと一体感で勝負

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桐光学園高が2度目の優勝の挑戦する

[8.3 インハイ準決勝 桐光学園高 0-0(PK5-4)国見高 花咲スポーツ公園陸上競技場]

 チーム力で勝つ。桐光学園高(神奈川1)は初優勝した19年大会以来、4年ぶりの決勝進出。前回はU-17日本代表のエースFW西川潤主将(現鳥栖)が準々決勝、準決勝で2試合連続後半アディショナルタイムに決勝点を決めるなど、異質の才能の存在が大きかった。

 今年もU-17日本高校選抜で10番を背負うMF松田悠世(3年)とMF齋藤俊輔(3年)の両翼は大会トップレベル。いずれもJクラブに練習参加しているタレントであり、少数精鋭で鍛えられた桐光学園には他にも将来性の高い選手が複数いる。だが、現時点では当時の西川ほど突き抜けた存在はいない。

 それだけに、鈴木勝大監督は「突出した選手がいない分、ハードワークしないといけない」と語る。指揮官は昨年度の選手権を視察し、チーム力の重要性を再認識。「(全国制覇した岡山)学芸館も素晴らしい選手もいましたけれども、チームがまとまって勝ち上がっていったことが印象的でした」と説明する。岡山学芸館高(岡山)は高卒でプロへ進んだ選手はいなかったが、そのまとまり、ハードワークで対戦相手を凌駕。大会期間中に成長を続け、日本一に輝いた。

 この日、国見高(長崎)との準決勝は桐光学園が求めている戦うこと、ハードワークすることを出し切れない試合に。ハーフタイムの鈴木監督の檄を受け、後半立ち上がりは相手を飲み込むような攻守を見せたが、70分間で勝ち切ることができず、その重要性を改めて学ぶ試合となった。

 桐光学園のGK渡辺勇樹主将(3年)が、今年のチームの特長に挙げるのが一体感だ。「世代屈指の選手がいなくてもチーム全体が一体感を持って、一つの目標へ向かってやっていけるのが今年のチームの特長だと思いますし、全員が人の話を聞けて、一つの目標へ向けて全力で取り組むので、そこが今年のチームの良さかなと思います」。4年前も西川を中心にMF神田洸樹やMF中村洸太(ともに現桐蔭横浜大)、CB奈良坂巧(現讃岐)ら各選手が支え合いながら勝ち続けているが、今年は当時以上のハードワーク、一体感を持って2度目の日本一にチャレンジする。

 今大会の桐光学園はシードで2回戦から出場。一戦一戦積み重ねることを掲げ、対戦相手から学びながら決勝まで勝ち上がった。各選手の守備意識が高く、良い守備を良い攻撃へ結びつけている。プレミアリーグ勢の尚志高(福島)や伝統校の国見を上回るなど、全国上位相手でもやれる自信と力をつけていることは確かだ。夏の日本一をつかみ取り、国立での選手権初優勝へと続く物語。決勝もチーム全員が走り切り、新たに学び、大会を終えることを指揮官は期待する。

 鈴木監督は「このインターハイで自信も課題もしっかり自分たちで抽出してリーグ、そして(選手権で勝ち上がり、)国立で勝つ。東山と(岡山)学芸館の5万人の試合が僕の中ではとても印象に残っているので、国立で勝つために何が必要か、ここでしっかり味わえれば良いですし、最大の試合数ができたので、最後はグラウンドからそのまま飛行場に行って良いくらいしっかり走って欲しいなと思います」。決勝の対戦相手は、大会前の練習試合で敗れている明秀日立高(茨城)。「全員がハードワークする素晴らしいチーム」(鈴木監督)という相手に自分たちの特長を出し切って、勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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