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本格強化2年目の集大成!城西国際大が韓国大学王者破る!:国際親善試合

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[12.11 国際親善試合 城西国際大2-1韓南大 城西国際大G]

 本格強化2年目で千葉県大学2部リーグを全勝優勝した城西国際大が11日、「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」(城西国際大G)で開催された「城西国際大学創立20周年記念 PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK 第1回国際親善試合」で韓国の全国体育大会サッカー部門優勝チーム、韓南大と対戦。先制されたものの、FW湯本直矢(3年=東京都市大塩尻高)とFW井之元和之(1年=都城高)のゴールによって2-1で逆転勝ちした。

 日本サッカー協会が後援し、高円宮妃久子さまと川淵三郎日本サッカー協会最高顧問も観戦する中で行われた「国際親善試合」(主審は国際審判員の西村雄一氏)。対戦相手として迎えられた姉妹大学の韓南大は、今年の韓国大学王者で試合前は劣勢が予想されていた。だが試合直後には川淵最高顧問も旧知の小山哲司監督に「エライ強いな」と驚きの言葉をかけるほど会心の勝利。小山監督は「たまたまですよ。ホームだったし、皆さんの応援もあったし、妃殿下や川淵さんが来て頂いたのもある。監督じゃなくて、選手が良くやったと思います。本当に良くファイトしてくれた」と選手たちを賞賛し、キャプテンマークを巻いた湯本は「周りからは『10点取られても1点取れよ』とか言われていた。それが本当に悔しくて、どうしても勝ちたかったので勝てて良かったです」と胸を張っていた。
 
 城西国際大はこれまでの4-2-3-1から4-3-3へ変更して、この一戦に臨んだ。GKは平山優樹(1年=長崎日大高)で右から溝口大気(1年=室蘭大谷高)、呉島勝士(1年=広島皆実高)、重行拓也(1年=広島ユース)、津川暢彰(1年=札幌U-18)の4バック。中盤はアンカーの位置にMF橋本渉(1年=広島皆実高)が入り、その前方にMF桑野淳史(1年=福岡U-18)とMF古川大貴(1年=佐賀東高)が並んだ。両ワイドは右が湯本で左が米澤康太(1年=都城工高)。3トップの中央に井之元が入った。

 立ち上がりは相手のスピード、身体能力の高さにDFが振り切られる場面もあった。徐々にディフェンスラインが下がってしまった城西国際大はボールを奪っても慌てて前線へ蹴りだしてしまい、攻撃を組み立てられない。そして前半7分にゴール前の混戦からポスト直撃のシュートを放たれると、15分には右サイドを個で崩されて長身FW趙祐辰に先制ヘッドを叩きこまれてしまった。

 直後には接触プレーで負傷していた古川がMF小嶋慶蔵(1年=長崎日大高)と交代。流れの悪い中、19分にも縦パスでDFの背後を取られ、決定機をつくられた。平山の好守によって追加点は阻んだものの、苦しい展開が続く。だが、試合の流れはここから徐々に城西国際大へ傾いていく。なかなかボールを奪いきることができず、寄せの速い相手の前に決定機をつくることはできなかったが、それでも球際で粘り、素早いパスが敵陣で2本、3本とつながっていた。

 そして34分だ。小嶋が個人技で中盤を打開すると右サイドで溝口、湯本とつなぎ、CKを獲得。これを桑野がペナルティーアーク方向へライナー性のボールを入れると、走りこんだ湯本が右足ダイレクトでゴールへ突き刺した。サインプレーから生み出した鮮やかな同点弾に喜びを爆発させる城西国際大イレブン。橋本は「ボクらが聞かされていたのが、韓国で一番強い大学ということで。正直、『勝とう』とは言っていたんですけど、『ヤバイかな』という思いもあった。それが試合の中で払拭できたことが大きかったと思います」と振り返っていたが、試合の流れを引き寄せ、ゴールも奪って「やれる」手応えを得たチームは“練習通り”のサッカーを展開。重行と呉島中心に安定した守備に加えて攻撃面では36分にも左サイドをえぐった米澤のクロスを中央の湯本が合わせたほか、ポゼッションでも相手を上回り、ゴールチャンスをつくり出していく。

 次の歓喜は後半5分に訪れた。左サイドで連続攻撃を繰り出した城西国際大は、こぼれ球を拾ったSB津川がPAへ強引に切れ込む。これはGKが対応したが、小さくなったクリアボールを拾った井之元が、DFに距離を詰め寄られながらも右足を振りぬくと、ボールはゴール左隅へ突き刺さった。逆転劇に盛り上がるスタンド。大きな拍手の中で城西国際大はさらに攻め続ける。9分、小嶋のスルーパスを引き出した右SB溝口の折り返しから米澤が決定的な左足シュート。16分には左サイドでセカンドボールを拾った橋本が仕掛けてクロスボールを放り込み、米澤が頭で合わせる。スピード、フィジカル、判断力の高さなど個々が局面で持ち味を発揮して決定機を連発。決め切ることはできなかったが、18分に相手が放った決定的なヘディングシュートがクロスバーを叩く幸運もあり、城西国際大はリードしたまま試合終盤を迎える。

 26分にはユニホームの背中部分が破れるほど激しい攻防戦を演じていた湯本に代えてMF花本敏生(1年=米子北高)を投入。35分には米澤に代えてFW香川滉太(1年=瀬戸内高)をピッチへ送り出した。それでも運動量が明らかに落ちたチームは相手に押し込まれてしまう。だが「みんな最初から結構走っていて、疲れていたので、自分が走っていない分、みんなの分まで頑張ろうかなと思いました」というGK平山が、ディフェンスラインの背後へのラストパスなど決定的な場面を身体を張ったセービングで死守。11人全員が集中してプレーを貫いて1点リードを守りぬいた。

 千葉県2部リーグでは全ての試合で4得点以上記録し、29-0という“ラグビースコア”もあった。大勝する試合が続いたが、その中でも選手たちは高い目標を持ち続け、情熱的なトレーニングを通して着実に成長してきた。小山監督は「リーグ戦が終わって少し大人になったかな、と。そういう気がします。だからもっとチームを進化させたいし、個人個人が伸びてほしい。来年入ってくる選手たちを含めて、ひとつのチームとして目標に向かっていきたいと思っています」と語った。

試合後の円陣で指揮官は「これで終わりじゃないから。次がまた始まる。切磋琢磨してください」。津川は「今年は集大成として最後にいい試合ができたから、これを続けていきたい。監督も常日頃から言われていますけれど、これで終わりじゃないし、来年もある。どんどん先もあるので負けていられないし、足踏みはしていられないですね」。今年は12月16日までトレーニングし、天皇杯千葉県予選からスタートする来年は1月5日に始動する。それぞれが最高の準備をして、進化して、本格強化3年目となる来シーズンも笑顔で終える。

(取材・文 吉田太郎)

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