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[早スポ]終盤に追いつかれ、優勝に向けて暗雲

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[早稲田スポーツ ゲキサカ版]
JR東日本カップ2013 第87回関東大学リーグ戦 10月22日 東京・国士舘大学鶴川キャンパスサッカー場

早稲田大2-2順天堂大

 豪雨の影響で順延となり、平日開催となった関東大学リーグ戦(リーグ戦)第17節。対する順大はリーグ開幕戦で敗れており(●0-1)、リベンジを誓う相手だ。試合は前半で早大が2点を先制するも、後半には逆に2ゴールを許してしまう。2-2の引き分けで勝ち点1に留まり、リーグ優勝に向けて暗雲が立ち込める結果となった。

 立ち上がりはボールが行きかう落ち着かない展開になるも、除々にセカンドボールを回収する早大が攻勢を強めていく。順大のサイドハーフの緩い守備で「サイドで数的有利を作れる」(DF三竿雄斗、4年=東京Vユース)状況を生かし、早大が連続得点を決める。37分、左サイドでMF近藤洋史(3年=名古屋U18)がボールを受けるも、順大はファーストディフェンダーが決まらずプレッシャーがかからない。フリーの状態から、FW榎本大希(4年=横浜FMユース)にピンポイントのパスを出すのは造作もなかった。ヘディングで合わせたボールは相手DFが蹴り出そうとするも、コースが変わりゴールに吸い込まれる。オウンゴールという形で早大が先制点を挙げた。39分にはカウンターの流れからFW宮本拓弥(2年=流通経済大柏高)がバイタルエリア付近まで持ち込み、相手DFを引き付けて横パスを送る。またもフリーになった近藤洋はカットインして、迷わず右足を一閃。観衆も感嘆の声をあげる強烈なミドルシュートが突き刺さり、2-0とリードを広げて前半を折り返した。

 危なげなく戦ってきた45分間。しかし55分に順大が背番号10のMF井村雄大をピッチに送り込み攻撃的な布陣にシフトすると、様相は全く別の物になっていく。サイドに位置していたMF天野純(順大)もトップ下に移り、人もボールも動く華麗なパスサッカーへと変貌を遂げた順大に完全に主導権を握られてしまう。63分には自陣深くでボールを回す相手に対して複数の選手が後方からプレッシングをかけにいくも、パスワークでいなされて前線にボールを運ばれる。空いたDFラインの裏を突かれ、GKとの1対1を冷静に沈められて失点を喫した。その後も連動したプレスはかからず、なおもボールを自在に回される早大。自陣に釘付けにされ、相手の攻撃を受け続ける厳しい状況になっていく。何とかリードを保ったまま終盤を迎えるが、現実は非情だった。ワンツーを駆使して中央を切り崩されてペナルティエリア内に進入を許し、決定的なシュートを打たれる。GK阿部雄太(3年=渋谷幕張高)が必死のセービングを見せるも、順大の1トップ原田開にこぼれ球を押し込まれて同点に追いつかれてしまう。勝ち点3をつかむべく何とか反撃を試みるが、近藤洋が88分に放ったゴール至近距離でのシュートはGKの正面をつく。3点目を挙げられないまま、タイムアップを告げる笛はむなしくも鳴り響いた。
 
 後期リーグ戦は8試合で17失点と失点の連鎖は止まらない。加えて残り5試合で首位専大と勝ち点10差がつき、リーグ優勝には絶望的な数字が突きつけられた。次節は残留に向けてかつてない意気込みで戦うであろう、慶大と伝統の一戦を迎える。チーム状態が下降線の一途を辿る中で復調の兆しをつかむことができるか。「自分たちが5連勝したら何が起こるか分からない」(MF中田航平主将、4年=横浜FMユース)。奇跡を起こすべく、まずは宿敵を全力で打ち砕く。

[写真]見事なミドルシュートを決めた近藤洋

(取材・文 早稲田スポーツ 松坂和之進、写真 芦川葉子)

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